2024年度の介護保険見直しに向けて、社会保障審議会・介護保険部会での検討が進んでいる。来年1月からの通常国会に介護保険法の改定案が提出される予定で、年末までには見直しの方向が示される。
10月31日の同部会では、「給付と負担について」をテーマに検討が行われた。この日、厚労省が検討項目として挙げたのは、①保険料納付年齢の引き下げとサービス利用年齢の見直し、②補足給付(施設に入所している低所得者への補助制度)の資産要件見直し、③老健施設等の多床室への部屋代導入、④ケアプランの有料化、⑤要介護1・2の総合事業への移行、⑥利用料の2割負担・3割負担の対象拡大、⑦高所得者の保険料引き上げ――の7点。
ケアプランについては、介護保険の入口にあたるものであることから、有料化されれば、介護保険利用の妨げとなることが危惧される。同部会の委員からも「早期発見や対応の遅れが生じる可能性がある」「利用控えが一層増えると思われる負担の導入は反対」など、反対の声が続出した。要介護1・2の方をボランティアなど専門職以外も担い手となる総合事業へ移行することについても「(要介護1・2の方について)認知症など専門職の支援や関わりなしでは生活できないケースも多い」「(総合事業の整備状況には地域差があるため)適切な支援が受けられず、要介護者の重度化が進んでしまう可能性がある」などの指摘が相次いだ。
補足給付は2021年に要件を厳格化した際に、月々の利用料が大幅に増加し、退所を余儀なくされる例などが相次いだ。今回の見直しは一層、低所得者の介護保険利用を阻むものとなる。挙げられた7項目については、いずれも被保険者・利用者の負担増となるもので到底容認できるものではない。また、この間、介護保険での改悪を理由に「制度間の公平性」と称して医療保険でも同様の改悪が実施されていることも見過ごせない。
介護保険については、制度設計自体に大きな欠陥がある。保険財政の負担割合は原則として国25%、県と市町村25%、残りの50%が国民の支払う保険料となっている。この構造上、利用量が増えると保険料に直接跳ね返ることとなる。この仕組みを変えない限り、利用が増加する場合、保険料を引き上げるか給付の抑制をするしかなくなる。負担増を許さないことと併せて、この仕組みを見直し国の負担を大幅に増やすことも重要だ。
2022年11月29日