2023年1月18日

新年にあたりー医療機関と国民の命、守る取り組みに注力

(愛知保険医新聞2023年1月15日号)

武漢で新型コロナウイルス感染が発生し、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染が衝撃的に報じられ、発熱外来が設置されてからほぼ3年経ちました。昨年11月、ある医療関係者の集まりでは約3分の1の医師が感染し、休診せざるを得なかったとしています。幸いインフルエンザとの同時流行は今のところありませんが、多くの医療機関が発熱外来の設置やその対応に時間と人手を割いています。
また40年来の新自由主義による円安、雇用、経済、社会保障などの悪化により、医療機関も国民生活も余裕のないものとなっています。
このような中、4月からオンライン資格確認システム導入が義務化されることになりました。保険医協会のアンケートでは義務化されれば廃業を考えるという医療機関が12%もあります。4月からの義務化はあまりにも拙速で、医療機関の負担を考慮しない施策です。協会は一貫して「義務化」に反対してきました。
いずれはデジタル社会になるでしょうが、一律の義務化は国民の健康を守り続けてきた医療機関と、デジタル弱者となりうる患者の切り捨てにも繋がりかねません。
昨年ロシアがウクライナに侵攻するという考えられない悲劇が起こりました。突然に平穏な生活が断ち切られるという悲劇は身につまされます。「ズラータ、16歳の日記」は戦時下のかつての日本を彷彿とさせます。侵攻された国家だけでなく、両国民の人権が蹂躙されます。ロシアであれ、日本であれ、そのような国家が世界で名誉ある地位を保てるでしょうか。人々の平穏な暮らしを一瞬にして奪った罪をどのように考えているのでしょうか。
今、岸田政権は軍事費を二倍に増やし、敵基地攻撃能力保有に言及しています。そのための歯止めとなる憲法を改悪する目論見です。
命と健康は平和であってこそ守られます。国民の命と生活を保障することが政府の責務であり、私たちの税金が他国の国土破壊と国民の命を殺めるために使われてはなりません。国同士の軋轢は外交努力で解決するべきです。
保険医協会は今後もコロナ禍から医療機関と国民の命を守るための取り組みに力を入れます。保険医新聞は機関紙として、協会の活動方針を伝えるとともに、会員の投稿や、インタビュー記事などを通して会員の顔が見えるような編集を心掛け、読んで楽しく、ためになる新聞づくりを目指します。

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