2022年4月7日

医科診療報酬-改定内容を把握し改善を求めよう

(愛知保険医新聞2022年4月5日号)

医療機関では新型コロナの感染に対応し、重症患者の受け入れをはじめ、ワクチン接種や検査の実施、自宅療養患者等への対応など、緊張と負担が続いている。そんな中、4月から診療報酬が改定された。
今次改定の改定率は、政府の方針による「コロナ医療など一定の役割を担う医療機関の看護職員の処遇改善」や不妊治療の保険適用、リフィル処方の導入、乳幼児感染予防策加算の廃止分を加えプラス0.43%とわずかに引き上げられたが、薬価・材料の1.37%の引き下げ分は改定財源とされず、全体では0.94%の引き下げ、五回連続のマイナス改定となった。前回改定時からの二年間、新型コロナの感染拡大による受診抑制の影響を受けながら、感染拡大防止や検査・治療などを継続し奮闘してきた医療機関にとっては、非常に厳しい改定である。

改定内容の特徴は、「初診からのオンライン診療」の解禁、「リフィル処方」の導入など、医師の診察を軽視した受診抑制策や、マイナンバーカード普及のための「電子的保健医療情報活用加算」の新設など、政府・財界が推進する政策的な内容が色濃く反映されている。また、入院医療でも要件の厳格化による病床機能の分化と病床削減がより強固に推し進められている。一方、協会・保団連が要望していた初・再診料や入院基本料の引き上げは行われず、医療機関の経営を底上げする改定にはならなかった。また、新型コロナ感染症への対応が続く中で、乳幼児感染予防策加算の廃止やPCR検査点数の引き下げが行われ、後発医薬品の供給が不安定な状況下でも、後発医薬品使用割合が引き上げられるなど、医療の実態を無視した強引な改定が実施された。

しかし、患者・国民への安心・安全な医療の提供や、医師・医療従事者の労働の評価と労働環境の改善を実現し、医療の質を向上させていくためには、診療報酬を抜本的に引き上げるとともに、医療現場の実態をより反映した診療報酬にしていくことが求められている。

協会では、コロナの感染拡大の収束が見通せない状況から、3月の新点数説明会は開催を断念したが、複雑な改定内容を周知するため「点数表改定のポイント」を会員に送付し、活用を呼びかけている。また4月には、「新点数運用Q&A、レセプトの記載」のテキストを発行し、新点数運用説明会を開催する。今次改定の政策的な意図や問題点を把握し、医療現場の要望が十分反映されるよう、協会では診療報酬改善・不合理是正を求めて運動していく。

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