2025年2月7日

通常国会―我々の声を反映させる絶好の機会

(愛知保険医新聞2025年2月5日号掲載)

1月24日に通常国会が開会した。今国会は、昨年の総選挙で与党が過半数割れをするという新しい情勢で迎えることとなった。予算案のほか、裏金問題への対応やマイナ保険証問題など重要な課題が山積しており、与党だけでなく野党にも、それぞれの課題にどの様な態度で臨むのかが鋭く問われることとなる。
昨年末に閣議決定された政府予算案は、防衛費を過去最大の8.7兆円とする一方、社会保障関係費は過去最大となったものの自然増分を1300億円程度圧縮するものとなっている。自然増は高齢化等に伴って、現行の制度を継続した場合に増えるものであることから、これを圧縮するということは、現行制度の改悪を意味する。
政府の案では、このうち200億円程度を高額療養費制度の見直しで賄うとしている。高額療養費制度は、医療費の自己負担が過度にならないよう窓口負担に上限を設けている制度。政府案では今年8月以降、段階的に高額療養費の上限額を引き上げることとしている。この様な見直しがされれば、特にがんや医療費助成の対象にならない難病など、治療費が高額になる治療を行う際に大きな影響が出ることとなる。お金がないために医療にかかりにくくなる事態は現在でも既に起こっているが、更に悪化することになるのは明白であり、高額療養費制度の見直しは撤回するべきだ。
従来の保険証存続を巡る問題も大きな焦点になる。昨年12月2日以降、従来の保険証の新規発行が停止された。しかし、保険医協会・保団連が昨年行った調査では、マイナ保険証を巡るトラブルは現在でも続いている。マイナ保険証の利用率を見ても2024年12月時点で25.42%と低迷している。
今年7月末には多くの市町村国保や後期高齢者医療制度の保険証が有効期限を迎えることになる。従来の健康保険証の有効期限が切れた後は、マイナ保険証を持っている人は原則、マイナ保険証でしか受診できないこととなるため、混乱も予想される。昨年の総選挙時にNHKが行った調査では当選した議員のうち過半数は保険証の廃止を撤回または延期すべきと答えており、保険証の廃止撤回は今からでも十分可能だ。
総選挙以降、与党も野党や国民の声を無視した国会運営をすることが難しくなっている。この状況を最大限に生かして社会保障費削減反対・従来の保険証廃止撤回の声を広げよう。

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