(愛知保険医新聞2025年2月15日号掲載)
昨年12月25日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会が開催され、薬価中間年改定の年に行われる期中診療報酬改定が議論された。
歯科診療報酬については、厚労省から「歯科衛生士や歯科技工士のタスクシフト等の評価の引上げ」として、昨年6月に新設された歯科衛生実地指導料の口腔機能指導加算を10点から12点へ、印象採得に関わる歯科技工士連携加算1を50点から60点、同加算2を70点から80点に引き上げることが提案、了承された。
歯科界には歯科衛生士の就業者不足や、歯科技工士の長時間過密労働などの課題があるとは言え、あまりにも歯科医療の現場を顧みない改定である。
協会歯科部会は、昨年の歯科診療報酬改定を受けて実施した歯科会員アンケートにおいて、回答者の86%が「初再診料の引き上げや、医療行為の評価を中心とした再改定を求める」と回答した結果に基づき、政府宛に期中再改定を求める要請書を提出した。(要請内容は本紙1月25日号1面参照)
歯科会員アンケートでは、「基礎的な点数が上がっていない」「初・再診料の点数が低い」「人件費、物価の高騰を反映していない」「日常的な診療自体の点数が30年前とほぼ同じ点数のままであることが大きな問題」など、現在の歯科診療報酬が低く抑えられていることに多くの意見が寄せられた。
歯科に限らず診療報酬の改定に、物価や人件費の上昇が反映されていないことは明白である。改定率は2022改定は不妊治療の保険適用を除けば0.23%、2024改定はスタッフの賃上げ対応を除けば0.18%(いずれも診療報酬本体)と、物価の上昇などに全く追いつかない。
日医の松本会長は、四病院団体協議会の新年会員交流会で、「医療界が逼迫し厳しい状態にある」と診療報酬の期中改定について発言した。また、日本医療法人協会は理事会・支部長会で、診療報酬について「物価・賃金の上昇に応じて適切にスライドする仕組み」を導入すること、高齢化による社会保障関係費の伸びを抑制することをあらため、「物価・賃金の上昇を踏まえた仕組みにする」ことを求めていくよう決議した。
物価・人件費に対応できるように、基本診療料や日常的に行われる処置行為などを中心に診療報酬を引上げる期中再改定は、医療界共通の要求である。