(愛知保険医新聞2025年1月25日号掲載)
2024年6月の診療報酬改定から7カ月が経過した。今次改定は、10年以上続くマイナス改定や新型コロナの影響に加え、物価高騰と賃上げ等への対応など、医療機関が厳しい経営を強いられ、大幅な診療報酬の引き上げが必要であったにもかかわらず、社会保障費の自然増圧縮と医療費抑制策を進める政府の下で、十分な改定財源が確保されず、全体で6回連続のマイナス改定となった。
協会が昨年10月に実施した医科診療報酬改定アンケートには、これまでにない多くの先生方から回答が寄せられた。診療報酬改定全体の評価については、開業医会員の8割超が「大変不満」「不満」と回答し、2023年7月と改定後の2024年7月と比較した診療報酬請求額では、マイナスと回答した医療機関が7割を超え、多くの医療機関での減収が明らかとなった。特に、特定疾患療養管理料の対象から糖尿病、高血圧症、脂質異常症が除外され生活習慣病管理料に再編されたことや、特定疾患処方管理加算1が廃止され、長期処方・リフィル処方が推進されるなど、医師の診察と診療報酬上の評価が引き下げられたことに対して、内科系の医療機関を中心に不満の声は大きい。
また、複雑で難しい対応が迫られたベースアップ評価料については、「評価しない」との回答が約6割となり、「事務職が対象外」「患者に負担を求めるのはおかしい」などの意見も多く寄せられた。さらに、体制が十分整っていない医療DX推進体制整備加算に対しても、「評価しない」との回答が5割を超えた。改定に対する意見欄には「改定内容が煩雑で事務作業に時間がとられる」「評価が低く納得できない。人件費も増加している」という意見とともに、「先行き不安」「廃業も考える」といった深刻な声も寄せられた。
協会では、昨年12月に診療報酬の再改定と基本診療料の引き上げ、高血圧症等の3疾病を特定疾患療養管理料の対象に戻すこと、生活習慣病管理料と併算定できない外来管理加算や特定疾患処方管理加算、医学管理等の不合理の是正、医療DX推進体制整備加算の施設基準からマイナ保険証利用率を除外すること、ベースアップ評価料の届出や実績報告の手続きの大幅な簡素化などを求めて、政府、厚労省に要望書を提出した。本来、診療報酬改定は2年毎となっているが、厚労省は医療DX推進体制整備加算の改定をわずか4カ月後に実施しており、期中改定は不可能ではない。協会では、医療機関に負担をかけることなく診療報酬を引き上げること、不合理の是正を求め運動していく。