2024年11月16日

総選挙結果-国民の声を受け止めいのち・暮らし優先の政治を

(愛知保険医新聞2024年11月15日号)

国民からの支持を失った岸田政権が退陣に追い込まれ、それを引き継いだ石破首相は、政権発足直後に衆議院を解散した。
総選挙では、与党の自民党と公明党が公示前の279議席から大幅に減らし、215議席と過半数(233議席)を割り込む結果となった。
今回の結果は、裏金問題やマイナ保険証の相次ぐトラブル、国民の暮らしが苦しくなる一方で大企業の内部留保が増え続け国家にとって最も重要な役割である所得再分配がまともに働かないなど、政権与党である自民党・公明党に対して有権者の強い怒りが示されたものである。
総選挙のなかでは現行の健康保険証の廃止も争点の一つとして多くのマスコミが取り上げた。これには、保険医協会・保団連が医療機関の現場などの声を集め、発信し続けてきたことが大きな役割を果たした。
NHKが総選挙の際に行った候補者アンケートを見ると、今回当選した議員のうち現行の保険証について「廃止すべきでない」「廃止時期を延期すべき」と答えた議員は与党を含め255人に上っており、半数を超えている。同アンケートで愛知県選出の議員を見てみると、「廃止すべきでない」「廃止時期を延期すべき」が27人中21人に及んでいる(残り6人のうち2人は無回答)。当選した議員には、国民の声を受け止め、早急に保険証の存続に向けた法改正を党派を超えて実施するよう求めたい。
今回の選挙では、立憲民主党や国民民主党などの野党が大幅に議席を増やした。これは、これまでの国民の生活を顧みず、身内に甘い自民党・公明党の政治に対する怒りの現れであり、野党にはその思いを受け止めた対応が求められる。
ところが、国民民主党は総選挙の公約で、後期高齢者医療制度の負担割合を原則2割化にすることや保険給付範囲の見直しなど、これまで与党が進めてきた負担増をさらに進める内容を示している。日本維新の会も後期高齢者医療制度の負担割合を原則3割にする提案をしている。
与党が過半数に達せず野党の発言力が相対的に強くなる状況の中で、国民民主党や日本維新の会が国民負担増を推し進める原動力になる可能性がある。
いのち・暮らしを最優先にする政治が国民の願いである。保険医協会・保団連では、今後も医療の現場や国民の声を集め、すべての会派に対してその実現を求めていく。

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