2022年1月17日

新年にあたり-命と人権守り、安心して暮らせる社会を

(愛知保険医新聞20222年1月15日号)

世界がコロナウイルスに支配されたともいえる2年間であった。このようなことが初めての状況のように語られるが、平成元年の開業当時、冬季嘔吐下痢症やインフルエンザで外来が混みあい、ベッドが足りず、親が抱っこして点滴したり、小児のインフルエンザ脳症が多発した歴史を知る当方は“蔓延”ということばにやや違和感を覚えることもある。
とは言え、この2年間コロナを受け入れた施設も受け入れなかった施設も、治療体制や減収または風評被害等々のため苦境にあったことは否めない。その中で保険医協会は補助金制度の詳細な解説、診療報酬の臨時的取扱いの説明や、共済制度で会員への息の長いサポートなどきめ細かく取り組んできた。
40年来の新自由主義で広がった経済格差にコロナが一層拍車をかけた。年末の大阪のビル放火による多くの犠牲者の中にはリワークプログラムに熱心に取り組む精神科医もいた。加害者も被害者もコロナ不況の結果かもしれないと思う。ご冥福を祈る。ワクチンやロックダウンも大事だが、社会保障制度が十分でセーフティネットが構築され、安心して暮らせる社会では、このような事件は起こりにくく、感染症にも強いだろう。
消費税10%・生活保護費や年金受給額の切り下げ・75歳以上の医療費窓口負担2倍化等々、今の政治は富裕層にやさしく、弱者に厳しい。富裕層の税負担率は驚くほど低く、その上タックスヘイブンに富を積み上げる。庶民には税金の還元が少なく、軍事費や各種の政策の中抜き等への分配が多い。岸田首相は所信表明で「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」と述べたが、自助・共助・公助の安倍・菅内閣路線に回帰し、憲法改正へ傾斜している。
保険医協会は、命と人権・医療機関の経営を守る事、会員とその家族及び従業員に寄り添う事を目的に、医科・歯科一体となり、診療報酬引き上げの運動、マイナンバーカードによる資格確認反対、各種研究会、文化的行事の開催等様々な活動をしてきた。コロナ禍で開催が危ぶまれたり、縮小されたりしながらも、ウェブ併用等により遠方からの参加が可能になったメリットもある。
保険医新聞は機関紙として協会の方針を伝え、新しい医療情報をいち早く届けることを目指したい。興味を持ち、楽しめるよう、月3回発行の内の1回を一部カラー印刷にした。これからも親しみやすく、読みやすい新聞づくりに努めたい。

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