2022年1月27日

通常国会開会-国民の声を国会に届けよう

(愛知保険医新聞2022年1月25日号)

208回通常国会が1月17日から始まった。今国会では来年度(2022年度)の予算審議を中心に与野党の論戦が展開されることになる。
昨年末に閣議決定した2022年度予算案は、社会保障費の自然増(6600億円)を2200億円削減するとしており、新型コロナ対策にも逆行するものとなっている。削減の中身を見ると、新型コロナ禍でも病床削減を進めることを前提に、診療報酬を実質的に1.14%減らすこと、現在原則1割の75歳以上の高齢者の医療費窓口負担に2割負担を導入することなど、新型コロナ禍で奮闘している医療者にも国民にも冷たい内容が並んでいる。岸田首相が打ち出した、看護・介護・保育職などの賃上げについても、当面は1~3%の引き上げにとどめるなど、首相の言う「公的価格の抜本的な見直し」には程遠い内容だ。現場の労働者からは「1桁足りない」との批判が噴出している
一方で、軍事費については8年連続で過去最大を更新し、5兆4千億円を超えた。2021年度の補正予算と併せると6兆円を超える規模となっている。国の安全保障については、新型コロナ禍で公衆衛生の充実が重要であることが浮き彫りとなったが、岸田政権は今までの自公政権と同様に社会保障費を削減し軍拡を進めるという姿勢に終始している。
岸田首相は「新自由主義は多くの弊害を生んだ」として分配を重視した「新しい資本主義」を実現すると表明している。しかし、総裁選時に挙げていた株式配当への課税強化などは予算に盛り込まれておらず、分配重視からは程遠い内容となっている。
予算以外にも、岸田首相は「敵基地攻撃能力」の保有や、憲法9条改定にも本格的に取り組む姿勢を示している。「敵基地攻撃能力」の保有は、歴代政権が違憲としてきたもので、日本国憲法の理想を放棄する道だ。憲法9条の改定も含めて、「戦争する国づくり」を進める動きが加速している。今国会でも、大きな争点となることが予想される
協会では、75歳以上の2割負担化に反対する署名や、憲法改悪に反対する署名に取り組む。今年7月に予定されている参議院議員選挙に向けて、より多くの会員・国民の声を国会に届けることが、社会保障や憲法の改悪を許さない最も有効な手段となる。多くの会員のご協力をお願いしたい。

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