2020年8月27日

軍事費と社会保障-今こそ、武器から人への転換を

(愛知保険医新聞2020年8月25日号)

今年の終戦記念日は、新型コロナウイルス感染症拡大の中で迎えた。改めて平和の重みをかみしめ、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにする」(日本国憲法前文)決意を新たにしたい。
多くの国民は軍事費を削ってコロナ対策に回すことを願っているにもかかわらず、安倍政権は今年度も過去最高の軍事費を更新する5.3兆円を計上し、憲法9条の改悪に執念を燃やしている。協会の2020年度活動方針では、新型コロナが我々に教訓として示すものは、グローバル経済と新自由主義的規制緩和の結果もたらされた脆弱な社会保障・公衆衛生の姿であり、それは克服すべき課題で、5.3兆円もの防衛費は大問題であると指摘している。
政府自民党は2020年版防衛白書で「敵基地攻撃能力」を保有しようとしている。国民の運動と世論によって陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備が断念に追い込まれたことを逆手に取った暴挙である。先制攻撃は、これまでの政府の立場「自衛のための最小限度の範囲」すら超え、憲法を踏みにじるものである。東アジアに安定的秩序を築くためには軍拡競争でなく、経済支援や外交など重層的な取り組みが必要である(中日新聞7/16、朝日新聞8/7)。憲法9条を生かした外交で平和な日本と東アジアを築くべきである。安倍政権は唯一の戦争被爆国にもかかわらず核抑止力を口実に被爆者・国民の悲願に冷たく背を向け続けている。「黒い雨」広島地裁判決に控訴する政府が言う「国民を守るための抑止力」など到底だれも信用できない。
今日の世界で人類存亡を脅かす重大課題は気候変動と感染症、核戦争の危険性である。ICAN国際運営委員川崎哲氏が日本の軍事費2020年度新規契約分の1.1兆円を新型コロナ対策に回したらどうなるか試算した。それによればICUベッドが1万5千床と人工呼吸器2万台の購入費に加え、看護師7万人と医師1万人の給与に相当する。軍事費を新型コロナ対策の財源に充てたのは、韓国だけでなくインドネシアやタイ、フィリピンでも同様である。第二次補正予算でも防衛費に全く手を付けなかった安倍政権とは大きな違いである。
新型コロナのパンデミックで多くの人が命の危険を実感し、「お金を武器から人へ回せ」はかつてないほどの切迫感をもって求められている。人を守るのは武器でなく、社会保障・公衆衛生である。予算を軍事費から社会保障に回し、被爆者を救済し、核兵器禁止条約に参加する政府を作るために、市民と野党の共闘の進展で、社会保障と平和を基盤とする政治の実現に力を尽くそう。

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