2020年2月16日

地域医療構想-地域住民に必要な入院医療を提供する

(愛知保険医新聞2020年2月15日号)

厚生労働省は9月26日、地域医療構想の進捗をはかるためとして急性期病床などを持つ全国1,455の公立・公的病院及び地域医療支援病院のうち、再編・統合の議論が必要と判断した424病院を「再検証対象医療機関」として公表した。愛知県内でも9病院が「再検証対象医療機関」とされた。
これを受けて、地域住民から「病院が無くなるのか」など不安の声が上がっている。
該当した病院では、「予定していた研修医が来なくなった」「内定していた看護師が辞退の連絡をしてきた」「職員の引き抜きが強まった」など、医療従事者確保に困難がもたらされた。また、「病院再編を進めているのに古いデータで公表されたので戸惑っている」などの声も上がった。
病院名の公表に対して、知事会、市長会、町村長会、全自病などが反発したことに対して、厚労省は説明会を各地で行った。しかし、説明会では公表の方法について謝罪めいたことを述べたようだが、再検証を求める方針を変更することはなく、都道府県に対して再検証を進めるように今年に入って通知を発出している。
今回問題となった「再検証対象医療機関」の選定基準は以下の要件A又はBに該当することとされている。
「要件A」は(1)がん、(2)心血管疾患、(3)脳卒中、(4)救急医療、(5)小児医療、(6)周産期医療、(7)災害医療、(8)へき地医療、(9)研修・派遣機能の9領域において「実績が少ない(圏域内の下位33.3%に属する)」、「要件B」は前記(1)から(6)の6項目において、近隣(車で20分以内)に同様の実績を有する病院が在る「類似かつ近接」である。
これらの要件は地域医療計画により都道府県で体制整備計画を策定しており、政策的医療として整備を図る対象となっている。しかし、地域の病院が担う機能はそれにとどまるものではない。
人口や交通事情、隣接圏域との関係など構想圏域の事情は様々であり、公立・公的病院の果たす役割も地域によって大きく異なる。特に大都市部を除いた地域では公立・公的病院の果たす役割が大きく、かつ医療従事者の確保に困難を抱えながら運営している病院も少なくない。
地域ごとの医療需要に応え、地域住民が安心して暮らすためにも、縮小、統合・再編を強制することには強く反対する。

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