2020年2月28日

福祉充実の国会を-年金・雇用を壊し、診療報酬引き下げはごめんだ

(愛知保険医新聞2020年2月25日号)

 愛知県では統計開始以来最晩の初雪を記録した。そのさなか、昨年のクリスマスイブ、東京・江東区の集合住宅で生活に困窮していたとみられる72歳と66歳の兄弟が福祉の支援を受けずに痩せ細り死亡しているのが見つかった。未然に防げなかった行政システムも問題だが、日本に依然としてこのような貧困の現実が存在していることの大きさ、政治の責任はどうなのか。
 1月からの通常国会は、このような国民生活を議論するのとは程遠い噴飯ものの場面が続いている。
 「桜を見る会」問題、カジノを中核とするIR事業汚職事件と続き、政権延命のためには不正や捏造がまかり通る。改憲だけには執着を見せ、政権内からは新型肺炎の不安に乗じた「緊急事態条項」を憲法改正でと求める発言まで飛び出している。
 国会で、国民のくらしや福祉のことはどうなのか。通常国会に提出予定の年金改革法案は、年金支給開始年齢を75歳まで引き上げる内容だ。厚生年金の平均受給額は、1999年の17万7000円から2017年には3万円も下げられ、昨年の財政検証では「マクロ経済スライド」を実施し続ければ、40年間保険料を払い続けても国民年金の月額は現行の6万5000円から2046年には4万8000円に減ると報告されている。
 同じく今国会に提出予定の雇用保険法・労基法改正法案は、(1)70歳までの就業、(2)フリーランスなどの非雇用の働き方拡大、副業・兼業の普及による労災・雇用保険の見直しなどとなっている。
 全世代型社会保障改革の核心であり、働かざるを得ない高齢者を政府が大量に作り出そうとしている。
 このような年金・雇用の上に、医療では負担増である。
 今次診療報酬改定はネットで0.46%引き下げとなり、安倍政権下で4回連続のマイナス改定となった。本体部分はわずか0.55%のプラスで、この間の物価、人件費上昇にすら届かない。改定前に中医協に報告された「医療経済実態調査」では、病院では赤字基調が続き、医科・歯科診療所も経営の改善が見られない。医療従事者の給与水準も、依然として低い状況に留まっている。歯科用金属の金パラ価格も逆ザヤ現象が是正されないままである。
 75歳以上の窓口負担2割化や、受診時定額負担導入などは引き続き狙われている。
 「みんなでストップ! 負担増」署名を成功させ、政府に福祉充実を求めたい。

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