2019年4月17日

より良い歯科署名-署名で医療改善 大きく前進させよう

(愛知保険医新聞2019年4月15日号)

4月から「保険でより良い歯科医療を求める請願署名」が始まるにあたり、皆さんに知って頂きたい。
テレビや新聞の報道、また国会討論の中でも、いつも「社会保障費の増加が日本の財政を圧迫している」と呪文のごとく言われる。「増大する社会保障費を賄うために消費税増税も仕方が無い」ともいう。しかし、山本太郎参議院議員が消費税の使途について内閣官房に問いただしたところ、これまでの増税分のうち社会保障に使われたのは、たった16%だった。驚くことに残りの84%の使途・内訳は明らかに出来ないという。消費税を8%に増税した際「消費税は、社会保障の充実と安定化に必要」と繰り返していたにもかかわらずだ。
格差社会の広がりという言葉が定着したように、日本社会は新自由主義の経済政策で無茶苦茶にされた。とりわけ地方における社会基盤の崩壊は加速している。今国会の中では国保保険料が高くなり治療を手控えて命を落とす人が増えたことも明らかにされた。国民が危機的状況に陥っているときに、10月から消費税増税がなされれば、国の経済政策で命を落とす人たちが増えるだろう。これでは「世を治め、民を救う」経世済民の名が泣くではないか。
一方医療界はどうだろうか。「勤務医や研修医の残業を『1,860時間まで』認める」と厚労省は言う。働きすぎで健康を害して自死する医師まで出ている中、現場の医療を担う者に長時間労働を押し付けて、患者の命が守れるとはとても思えない。歯科分野では、歯科医師過剰論に首根っこを押さえられ、本当の原因である低診療報酬と制限診療(当たり前の治療技術が保険適用されていないという意味で)から目を逸らされている。骨太方針で「口腔の健康は全身の健康にもつながる」と謳われているにもかかわらずだ。
このように考えると、今回の歯科署名は多数の賛同者を集めることで、これ以上の社会保障後退を許さず、国民皆保険を守る大事な運動となる。愛知では、地元選出の国会議員のかなりの方々が、この請願主旨に理解を示してくれる。今回から署名の名称が「保険でより良い歯科医療を求める請願署名」となった。署名に取り組むことで、現場から「今よりもっと良い歯科医療にしよう」とメッセージを発信して、市民と手を結んで日本の医療・歯科医療をよくする運動として大きく前進させたい。医科歯科を問わず、多くの会員の皆さんにご協力をお願いしたい。

ページ
トップ