(愛知保険医新聞2020年1月15日号)
年末に閣議決定された政府予算案で、社会保障費の自然増は概算要求段階の5300億円を4100億円余りまで圧縮された。削減の主要な財源は診療報酬の実質マイナス改定分だ。診療報酬本体部分の引き上げも、勤務医の働き方改革対応としているが、物価・人件費の上昇分にも届かない不十分な改定率となっている。
そのような折りに、医療・介護の患者負担増計画が相次いで出された。政府の全世代型社会保障検討会議が、来夏の最終報告に向けた中間報告を発表した(12月19日)。①75歳以上の窓口負担を一定所得以上の方は2割にする、②紹介状なし大病院受診の窓口追加負担を初診で現行5000円以上(再診時2500円以上)のところを1000円~3000円上乗せする、③さらに②の対象病院を200床以上の一般病院に拡大――などというものである。中間報告では記載が見送られた外来受診時定額負担や市販品類似医薬品の保険給付外しなどは、同日発表された「新経済・財政再生計画改革工程表2019」で、いずれも2020年の骨太方針に向けて成案を得ることが明記されている。
介護でも、ケアプランの有料化や要介護1・2の生活援助サービスの給付外しなどは、社会保障審議会や上記改革工程表で検討が明記されている。
このような負担増計画は、2015年12月の「経済・財政再生計画 改革工程表」で、75歳以上の2割負担化は「2018年度末までに結論」、受診時定額負担の導入や要介護1・2の生活援助サービスの保険給付外しは「2017年通常国会に法案提出」などと記載されていたものだ。しかし、国民各層からの反対の声に阻まれ、今日まで実現を見ていない。保団連・保険医協会が取り組んだ「ストップ! 患者負担増」署名などの連続した待合室キャンペーンも、こうした改革を食い止める一翼を担ったことはいうまでもない。
そして、いま再びの負担増計画を前に、私たちは新たに「みんなでストップ! 患者負担増署名」に取り組むことを決めた。この署名を広げて患者・市民に負担増計画を知らせ、医療従事者として負担増に反対している姿勢を示すことは、負担増反対の世論を大きくすることにつながり、患者・市民からの信頼を醸成することにもなる。多くの会員の賛同・協力をお願いしたい。