2020年1月26日

介護保険見直し-更なる利用者負担増は認められない

(愛知保険医新聞2020年1月25日号)

 政府が今年1月からの通常国会に上程を予定している介護保険の見直しについて、社会保障審議会介護保険部会は昨年12月27日に意見書を提出、厚生労働省の示した見直し案を了承した。今後、整備に向けて国会などで議論がされることとなる。
 意見書のなかでは「給付と負担のバランスを図りつつ、保険料、公費及び利用者負担の適切な組み合わせにより、制度の持続可能性を高めていくことが重要」として、補足給付の見直し、高額介護サービス費の見直しの二点が必要とされた。
 補足給付は、施設に入所する低所得者の食費・居住費の一部を軽減する制度。見直し案では、世帯全員が市町村民税非課税で本人の年金収入等が120万円を超える方が、特別養護老人ホームの多床室に入所している場合、月々の利用料負担が2万2000円増えることとなる。厚労省は在宅で暮らす方との公平性などを見直しの理由として挙げているが、消費税増税や介護保険料の値上がりなど国民の負担が増えているなかで、低所得者に対して更なる負担を強いるもので断じて許すことはできない。
 高額介護サービス費は、医療保険の高額療養費にあたるもの。現在の制度は月の負担額は4万4000円が上限となっている。見直し案では、医療保険の高額療養費制度に合わせる形で、現役並み所得相当者(年収約383万円以上)を三段階に分け、月額の上限を最高14万100円に引き上げる。介護保険の保険料は所得に応じて徴収する仕組みとなっており、利用料にまで所得に応じた負担を持ち込むことは、社会保険制度として邪道だろう。
 この他に、今回の導入は見送られたものの、今後継続して検討する項目として、2割・3割負担者の対象拡大、ケアプラン作成への自己負担の導入、要介護1・2の生活援助サービスなどの保険外し、老健などの多床室入所者に対する室料負担の導入などがあげられている。これらの項目については、財政制度等審議会や全世代型社会保障会議でも実施が要望されており、今後も利用者負担増が狙われている点も見過ごせない。
 保団連・保険医協会では1月から「みんなでストップ! 負担増」署名に取り組んでいる。国会で今回の負担増計画を撤回させるためにも、今後の更なる負担増を許さないためにも署名へのご協力をお願いしたい。

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