2019年4月6日

消費税10%-10月増税中止の一点で署名にご協力を

(愛知保険医新聞2019年4月5日号)

保団連の住江憲勇会長や映画監督の山田洋次氏ら10人が呼びかけ人となって、昨年12月に「十月消費税10%ストップ! ネットワーク」(略称、10%ストップ! ネット)が結成された。10%ストップ! ネットは、消費税に関する立場や意見の違いを脇に置いて「10月の増税中止」の一点での共同行動を呼びかけている。
協会はこれに呼応して増税ストップの運動を強めることを決定。3月には「消費税10%中止を求める請願」署名用紙を会員に送付した。
安倍内閣は法律どおり10月から消費税率を10%に引き上げようとしている。2012年8月に成立した「消費税法等改正案」では、2014年4月に8%、2015年10月に10%と二段階で消費税率を引き上げることになっていた。しかし安倍首相は8%増税後の消費低迷を受けて、10%への引き上げを2017年4月に1年半延期した。さらに首相は消費の低迷、景気の足踏み、デフレ脱却を理由に2019年10月まで2年半、2回あわせて4年間増税を延期した経緯がある。
果たして消費の低迷は解消したのだろうか。消費税8%への増税を契機に落ち込んだ家計消費は、総務省の家計調査を見ても5年続けてマイナスになっている。国内総生産(GDP)は少し持ち直しているが、増税前の水準には回復していない。実質賃金もマイナスになっている。中国、アメリカ、EUの経済が減速しており、外需に頼ることもできない。
この状況下で10月に増税したらどうなるか。回復基調にあると言われている日本の景気が大きく落ち込むことは明らかである。景気が落ち込めば受診抑制が進み、国民の健康状態も悪化する。
安倍内閣は2019年度「税制改正大綱」で、医療機関の控除対象外消費税問題を、診療報酬で補填することによって解消する方式を決めた。診療報酬による正確で公平な補填には限界があるにもかかわらず、増税を許せば補填が恒久化される恐れがある。非課税とされている保険医療に消費税を上乗せし、患者や保険者に転嫁していることになり、増税後に患者の不満が爆発する可能性もある。
「消費税の増税は必要だ」という人でも「今の経済状況では税率を上げるべきではない」という趣旨で、増税中止の署名運動への協力をお願いする次第である。

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