2020年2月7日

診療報酬改定-求められるのは診療報酬の拡充

(愛知保険医新聞2020年2月5日号)

4月から診療報酬が改定される。中医協では、1月にパブコメの募集と公聴会が開催され、今後2月上旬の答申で改定点数が確定し、3月上旬に告示・通知の発出となる。
今次改定率は、消費税財源による救急病院における勤務医の働き方改革の特例的対応分0.08%を含め、本体はプラス0.55%(国費約600億円)とわずかに引き上げられたものの、薬価・材料価格の引き下げ分は充当されず、全体では実質0.46%のマイナスとなった。
今回の改定は、昨年に政府が決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019」「成長戦略フォローアップ2019」など、社会保障費の自然増圧縮と医療費抑制策の下、4回連続のマイナス改定となった。患者・国民に安心・安全な医療を提供するために奮闘している医師・医療従事者の労働環境の改善、この間の改定で生じた問題や不合理の是正など、医療の質を向上させていくためには、医療費の総枠を拡大し診療報酬を引き上げることが必要である。
「診療報酬改定の基本方針」では、効率化・適正化、医療機関の機能分化・強化、アウトカム評価の推進などが強く押し出されている。外来医療では、かかりつけ機能の強化や患者負担増と結び付けた機能分化、歯科初診料の施設基準や歯科疾患管理料の見直しなどが盛り込まれている。また入院医療でも、病床機能の分化と患者の状態や診療実績による評価をさらに押し進め、要件や施設基準が強化されるなど、差別化がさらに図られている。
また、重点項目として「医療従事者の負担軽減や医師の働き方改革の推進」が謳われてはいるが、従事者の配置要件の見直しやICTの利活用などにとどまっている。人件費の高騰や経費の上昇に見合う初・再診料、入院基本料の引き上げなど基本的な評価の底上げなしには、マンパワーが必要な医療現場において、患者のニーズに応えながら真の働き方改革をすすめることは難しい。
協会では、今後も診療報酬の引き上げを求め、医療現場からの声を集めて国に働きかけていく。また、告示・通知の発出から改定までの周知期間が短く、訂正通知や疑義解釈も出される中で、さらに複雑化している診療報酬と改定内容を、わかりやすく正確に理解できるように、医科・歯科ともに会員医療機関のための改定テキストの発行と説明会の開催を予定している。ぜひご参加いただきたい。

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