2019年12月18日

一年の終わりに-命・平和・人権保障する国へ

(愛知保険医新聞2019年12月15日号)

協会のこの1年間の活動を簡単に振り返ってみたい。7月には参議院選挙があり、それに向けて、各政党の医療政策を訊くべく5月に国会議員を招いて医療問題フォーラムを開催した。身障者が2人当選したことは画期的である。当事者の声が届けられるチャンスを得た。女性医師歯科医師の会では障がい児・者や、LGBTの実情を知り、どの医師も診療できることを目標に学習してきた。
社会保障費に充てると言って3%から始まった消費税が10月にはついに10%になった。この間協会は内部留保が449兆円あり、20%台までに下げられた法人税率を引き上げることで、社会保障費は十分賄えるとの理由で、引き上げに反対してきたし、今後も引き下げを要求していく。
口の健康は全身の健康と深く関わっている事は今や常識であるにも拘らず、歯科診療報酬は不当に低く、引き上げ率も抑えられてきた。保険がきかない治療もあり、受診抑制に繋がっている。政府はさらに、75歳からの窓口負担を2割とし、更に花粉症薬や、シップ、風邪薬などの保険外しを狙っている。協会は「診療報酬引き上げ」「保険でより良い歯科医療を」の署名に取り組み、直接国会議員に手渡してきた。受取を拒否する議員の医療政策への姿勢を問いたい。
近年日本は災害列島と化し、ダメージの大きさを見ると、自助での復興は不可能である。このような災害の多い国に原発やリニアは不要という立場を協会は貫いている。東日本大震災以降2038年まで25年間にわたり納め続ける復興税、国民の反対を押し切って上げた消費税、引き下げられる社会保障費はどこに消えるのか。納税者の権利として知る必要があり、追及が必要だ。
「平和でなければ命は守れない」の理念のもと、「戦争と医の倫理」の検証を進める会と協力して、パネル展やシンポジウムの開催をした。ドイツ医師会はナチスへの協力に対して徹底的に反省しているのに対し、日本医師会は曖昧な態度に終始している。おりしもローマ教皇が来日し「核兵器に頼りながら平和は語れない」と強いメッセージを残した。
「健康で文化的な最低限度の生活」は憲法25条、「表現の自由」は21条で保障されている。命と平和、自由と人権が保障される国造りに専門性を生かしながら関わっていくことが協会の役割であり、会員一同力を合わせていきたい。

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