2019年11月16日

金パラ問題-早急な改定ルールの見直しを

(愛知保険医新聞2019年11月15日号)

歯科医院を苦しめる「逆ざや」現象
歯科医院で製作する被せものなどの材料である歯科用金属(金銀パラジウム=金パラ)は、保険医療材料として保険請求できる点数が固定化されている。仕入れ値が一定以上になると、患者に装着するたびに赤字となる。現在、パラジウムなどの高騰が続いており、歯科医院は「逆ざや」に苦しめられている。
金属材料料の改定は6カ月ごとに行われるが、±5%の変動があった場合に限られ、2018年10月、2019年4月の2回のタイミングでは改定が見送られ、1年以上にわたり歯科医院での不採算は拡大し続けてしまった。
10月1日の消費税増税に伴う金属材料料価格改定では、改定前の告示価格1g当たり1,458円から217円(14.88%)引き上げられ、1g当たり1,675円(30グラム50,250円)となった。実績価格は30g6万円を優に超える勢いで、依然として高騰が続いており、焼け石に水と言えよう。

価格決定方法を公にすべき
材料料の決定は、市場価格を参考としているが、流通価格の調査結果など、決定プロセスを開示した資料は、ほとんどが黒塗りで判別不能である。全歯科保険医に多大な経済的しわ寄せが行われている現状で、金パラ価格決定の方法が不明瞭であることは看過することができない。

歯科保険医の声が聞こえないのか
愛知協会をはじめ、全国各地の協会で行われた署名やアンケートには、悲鳴に近い会員の声が上がっている。「高くて買えない」「改定が行われなかったことがおかしい」「歯科医院経営を圧迫している」。当協会では、会員の切実な声を、安倍首相、経済産業大臣、厚生労働大臣、財務大臣あてに連名要請書として送付している。また精力的に国会議員を訪ね、金パラ問題の窮状を伝えている。
歯科医院が疲弊して、万一、補綴を控えるような事態が発生してしまっては、咬合の維持管理に支障が起きかねない。国民の口腔機能を預かる歯科医師の治療計画が歪むような事態になってからでは遅すぎる。

価格変動を迅速に反映させるべき
協会は、「6カ月ごとの随時改定における『5%の増減』ルール」を見直して、実勢価格との乖離が少なくなる措置を緊急に講じ、これ以上歯科医院に負担が生じないようにすること、歯科医療材料料決定プロセスと根拠、市場価格の調査結果などを明らかにすることを求めている。

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