2018年8月26日

相次ぐ差別-人間の尊厳を守り差別のない社会を

(愛知保険医新聞2018年8月25日号)

自民党杉田衆院議員が、LGBT(性的少数者)の人に対して「彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性』がない」と発言したことが問題になっている。この発言は、子どもを産まない、産めない全ての人に対して、人権を否定する侮辱的発言で看過できない。同氏は「男女平等は絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」とも発言している(2014年10月、衆院本会議)。
相模原市の障害者施設・やまゆり園で重度障害の入所者が殺害された事件や、旧優生保護法下での強制不妊手術問題などを含めて、人権否定の事件や発言が相次いでいる。
人間の存在価値を“生産性”で捉えることは、経済発展や国に役立たない人間は意味がないと言っているのに等しい。「(憲法上の)義務(勤労・納税・子女教育)を果たせば権利(人権)を主張してよい」と発言した自民党議員もいる。
そういう視点で子どものいない人や失業者などを排除することは、ごく一握りのエリートのみが生存を許される社会に陥る。結婚も子どもを産む・産まないも、国家から強制されるものではない。日本国憲法は、国民一人ひとりが自分らしさや、自分の生き方を選び取る自由、自己決定権を定めている。

◇    ◇   ◇
差別は医療界でも明らかになった。
東京医科大学の入試で、女性受験者の点数が一律に減点されていたことが報道された。同大学の内部調査委員会は、「女性医師は結婚、出産、子育てで医療現場を離れるケースが多い」ことが女性合格者抑制の理由の一つと報告している。
しかし、女性医師が出産・育児で離職せざるを得ない背景には、医師の過重労働があり、「男は仕事、女は家庭を守る」として女性に家事・育児の負担が偏っていることもある。
にもかかわらず、政府の「医師の働き方改革」は「医学部定員の減員」(骨太方針2018)が前提であり、医師を増やし、診療報酬引き上げをはじめとした政府の「低医療費」政策の抜本的改善を行わずに、医療現場に解決を求めるのでは、全国で同様の事態が起こり得る。
政府は、全国の医師養成大学の実態を明らかにし、男女とも医師として人間らしく働き続けられる環境整備を行う必要がある。そしてさらに、家事・育児と仕事の両立を実現できる社会を構築すべきである。
これらは、憲法にうたわれた両性の平等、人間らしい暮らしを支える労働時間の短縮や社会保障の実現であり、人間性の豊かな発展を保障する未来社会につながることでもあるのだから。

ページ
トップ