2019年3月7日

医師の働き方改革-無謀な時間外労働 の提案は撤回を

(愛知保険医新聞2019年3月5日号)

厚生労働省は1月11日、「医師の働き方改革に関する検討会」で、医師の時間外労働規制のあり方について、2024年度以降の時間外労働時間上限を提示した。
この内容には、地域医療確保のために必要な医師には2024年4月から2035年度末までの11年の長期間、経過措置として時間外労働の上限を年間1,900~2,000時間の暫定特例水準を設ける案が含まれている。年間1,900~2,000時間は、月平均160時間を超えるもので、過労死ラインと言われる月平均80時間の倍にあたる。これでは、医師の長時間労働、医師の過労死を容認・助長するものであり、絶対に看過できない。
また、本人の同意のもと、この過労死ラインの倍を超える時間外労働の上限に基づき時間外労働に従事し過労で倒れた場合、誰が責任を取るのかも不明であり、断固反対するものである。
検討会は、現状で約1割の医師が年間1,920時間を超える勤務をしており、地域医療確保の観点からやむを得ず、この長時間労働の基準を特例として設定すると説明している。これは過労死ラインを大幅に超えるような長時間労働を行わなければ、地域医療を維持できないという事実を認めたものであり、現状として絶対的な医師不足があることは明らかである。また、医師が疲弊しては地域医療も疲弊することは明らかである。医師の犠牲の上でしか成り立たない地域医療であってはならない。
この案が適用されれば、「特例」を認められた医療機関などから医師離れが加速し、若手医師からも敬遠され、医師の偏在が強まり、却って地域医療が崩壊することは容易に推測される。さらに長時間勤務では安全な医療を提供することは難しく、医療安全の側面からもこのように無謀な長時間労働を容認する提案を認めるわけにはいかない。
真の「働き方改革」とは医師の長時間労働・過重労働を無くすため、現実から目をそらした「医師偏在」のみの議論から脱却し、「医師不足」を認めその解消へ根本的な対策を取ること、勤務医の労働条件を改善するための十分な診療報酬を保障することである。
無謀な時間外労働を容認・助長する提案を即刻撤回し、現場の声に即した議論を求めるものである。

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