2024年2月29日

原発ゼロへ-福島の教訓活かし再エネ政策へ転換を

(愛知県保険医新聞2024年2月25日号)

能登半島地震が2024年1月1日に発生し、甚大な被害を及ぼした。北陸電力志賀原発は、運転停止中であったが、変圧器の油が漏れ出し、外部電源が一部喪失した。また、使用済み核燃料プールの水があふれ、ポンプが止まり、一時的に冷却が停止した。原発周囲の放射線測定モニタリングポストの多くで測定不能となった。稼働していた場合は、深刻な被害となったことは想像に難くない。
またこの地震により、能登地方に地面や海底が4メートル隆起する地殻変動も生じ、地震・津波が頻発する日本列島で原発をもつことの危険性が改めて浮き彫りになった。建物内に取り残された被災者、道路の寸断等による孤立集落の発生、負傷者、要介護者などの移動困難が生じた。これにより、地震に伴う原発の重大事故時の避難計画は、非現実的で実効性が全くないことが明らかになった。
今後も能登半島周辺で活断層が動き、揺れや津波、地盤の変化が志賀原発を襲う可能性は否定できず、それを予見することは極めて困難である。同様に日本列島に数多く走る活断層、断層の存在からも、日本のどこでも大地震発生の可能性があり、すべての原発が大事故を起こす危険がある。しかし、1月末の施政方針演説でも、岸田首相は「GX(グリーントランスフォーメーション)を推進し、原発の活用を進めていく」と発言し、強引に原発利用促進を進めている。
GX脱炭素電源法は2023年に審議らしい審議がほとんどされないまま可決・成立した。これにより原発の再稼働、運転期間の延長、次世代革新炉の開発が進められることとなり、原発政策の大転換となった。しかし、原発は、ひとたび事故やトラブルが生じれば、住民の健康と生活に取り返しのつかない影響を与えることは、東日本大震災で東京電力福島第一原発事故で痛切に学んだ教訓であり、今回の能登半島地震でもその危険性を示した。
一方で、国の原発優先政策のもと、再生可能エネルギーの発電制御が急増しているという(朝日新聞)。太陽光や風力発電が無駄になっている状況だ。グリーンと言うなら、危険きわまりない原発はなくし、再生可能エネルギーの発電増大政策に転換すべきである。
今こそ、いのちと健康を守る医師・歯科医師として、原発ゼロの声をあげよう。

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