2023年6月26日

自治体制度 子ども医療費、帯状疱疹助成など前進

保険医協会地域医療部では、毎年、県内全ての自治体に対して医療費助成制度や任意予防接種、健診事業などについての実施状況のアンケートを行っている。
子ども医療費助成制度については、協会では18歳年度末まで入通院とも無料の助成制度を要望した。昨年の調査以降、18歳年度末までを対象とする自治体がさらに広がっている。通院では豊橋市、春日井市などの15市町が、入院では、豊明市、あま市などの11市町が新たに実施する。また、長久手市や津島市が所得制限を廃止したことで、入通院ともに所得制限を設けた県内の市町村は無くなった。
これらの結果、18歳年度末まで通院で窓口無料は30市町村(55・5%)と県内市町村の半数を超え、入院では50市町村(92・5%)が窓口無料で実施している(本号6面参照)。今後も各市町村に制度拡充を訴えると同時に、市町村の制度に比べあまりに低い県制度(通院は就学前まで、入院は中学校卒業まで)の拡充も要望していく。
任意予防接種では、帯状疱疹ワクチンへの助成が大きく拡大している。22市町村が新たに助成を開始し、29市町村(53・7%)が助成している。未実施の市町村にはすみやかな助成開始を、すでに実施している市町村には助成対象となるワクチンの種類や助成額の拡充を求めていく。また、帯状疱疹ワクチンは住民の関心が高いため、実施する市町村には予算の確保など、希望する全ての住民が接種できる体制づくりも求めたい。
認知症予防に有効とされる難聴高齢者の補聴器助成は新たに3市が助成を開始したが、実施しているのは6市町のみで、県内での助成拡大はこれからだ。多くの未実施の市町村に助成開始を求めていく予定である。
この間のコロナ禍や物価高騰で、住民の生活は経済的な困難に直面し、多くの住民が不安を抱えている。また、子ども医療費助成制度が「医療費を大幅に増やす」などといった加藤厚労大臣の国会答弁のように、国は医療費抑制・社会保障削減ありきで、制度改悪を推進している。このような情勢で、住民に一番身近な市町村が果たす役割は大変大きい。住民の要望を受け止め、市町村の施策に反映することとあわせて、県や国に対して制度の創設・改善などを訴えていく必要があるだろう。今後も国・県・市町村に安心して暮らせるまちづくりのための提案を積極的に行っていきたい。

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