(愛知保険医新聞2023年4月15日号)
保団連・保険医協会では6月下旬まで開催されている通常国会に提出する「負担増ストップ! 国民の医療と介護を守る緊急請願署名」に取り組んでいる。
署名では①医療・介護の患者・利用者負担を大幅に軽減すること。とくに75歳以上の医療費窓口負担2割化は1割に戻すこと、②後期高齢者医療制度の保険料引き上げ、介護の利用者負担二割の対象拡大など、医療・介護の負担増をしないこと、③医療・介護への国の予算を増額すること――の3点を要望している。
医療保険では、昨年10月に75歳以上の人で年収200万円以上の約375万人に2割負担が導入された。保団連・保険医協会が実施した医療機関の窓口アンケートでは、2割化された人のうち「過去半年以内に経済的理由で受診を控えたことがある」との回答が約17%にのぼっておりその影響は甚大だ。年金の引き下げや物価高騰が直撃しているなかで、今後受診控えがさらに拡大することも予想される。
そんな中、今国会では、さらに後期高齢者医療制度の保険料引き上げが提案されている。後期高齢者の約4割にあたる年収153万円以上の人を対象にするもので、これが実施されれば、高齢者の健康に与える影響は計り知れない。
介護の分野では、昨年末に社会保障審議会介護保険部会で、2024年度の制度改定に向けた議論の取りまとめが行われた。慣例では、この際に利用者負担の計画についても大枠が示されていたが、今回はそれができなかった。政府は利用料2割負担の対象者拡大や老健などの多床室の室料有料化を狙っているが、国会対応や統一地方選挙への影響を恐れて結論を先送りしたと言われている。しかし、今年夏までには結論を出すとしており、現在開会中の国会で、反対の声を国会議員に届けることが非常に重要だ。
長引くコロナ禍に物価高騰が追い討ちをかけ、国民の暮らしは厳しさを増している。本来であれば暮らしを守り、経済を立て直す抜本的な対策に至急取り組む必要がある時に、まったく逆の社会保障費削減、患者・利用者負担増が進められようとしている。国民の声を国会に届け、この負担増計画をストップさせるために、署名へのご協力をお願いしたい。