(愛知保険医新聞2023年4月5日号)
2023年4月9日に愛知県議会議員選挙・名古屋市議会議員選挙が、2023年4月23日にはその他の市町村議会議員選挙がいっせいに行われる。
協会では、子ども医療費助成制度や任意予防接種の拡充、補聴器購入費補助の創設など、様々な要望を自治体に対して行っており、地方選挙はこれらの要望を実現する重要な機会である。
現在、国による社会保障費の削減が繰り返されているなかで、県や市町村などの地方自治体には、住民の健康や暮らしを守る防波堤の役割が求められる。
各市町村は、直接住民から要望を聞くことができるという特徴を生かし、国の方針だけに捕らわれることなく、住民にとって必要な施策を大胆に行ってもらいたい。なお、選挙の際には多くの候補者が、自身や政党としての実績を強調する。今回も、子ども医療費助成や給食費補助などを実績にしている候補が多く見られる。しかし、実際には住民からの長年の要望に背を向けていた議員が、実施の直前になって賛成に回るという例も多い。その候補者がどの様な姿勢であったかを知るには、それぞれの施策について、遡って実績を確認することも大切だ。
愛知県は各市町村が行う施策について、その下支えをするという重要な役割がある。例えば子ども医療費助成制度は、愛知県が助成対象としている通院で就学前まで、入院で中学校卒業までについては、助成費用の半額を愛知県が負担している。愛知県制度が拡大すれば、各市町村の負担が減り、他の施策を拡充する大きな力になる。子ども医療費助成の拡大については協会も加盟する愛知県社会保障推進協議会などが繰り返し、議会への要請を行っているが、審議すらされておらず多くの県議会会派は拡充に背を向けている状況である。医療・福祉施策の充実に、積極的に取り組む議員を多く誕生させることが必要だ。
なお、政府は防衛予算の引き上げなど大軍拡を進める一方で、75歳以上の医療保険料の大幅な引き上げや介護保険の利用料の引き上げなど、社会保障削減の施策を次々に打ち出している。新型コロナや物価高の影響で国民生活が苦しい中で、このような負担増が実施されれば、生活が立ち行かなくなる国民が増えることは間違いない。統一地方選挙の結果は、政府のこれらの施策への審判にもなることから、その点も考慮したうえで投票先を選ぶことも重要だ。