愛知県保険医協会は、社会保障を守ることと、平和を守ることを一体の課題と位置づけ、国民のいのちと健康を守る医師・歯科医師の立場から、社会保障と平和を基盤とする政治の実現に力を尽くすことを活動方針にしている。
7月の参院選の結果、改憲勢力の自民・公明・維新・国民4党による議席占有率は71%となった。岸田首相は、早期の改憲発議に執念を示している。
6月までの通常国会で、衆議院の憲法審査会がほぼ毎週の16回開かれ、国会議員の任期延長で自公維国4党が一致し、緊急事態条項も自維国3党でほぼ一致という状況にあり、第9条についてもウクライナ情勢に便乗して、前述四党が公然と主張する事態にある。「十分な議論を尽くした」と改憲4党が主張して、国民投票に踏み切る可能性もある。
自民党の改憲4項目のうち「緊急事態条項」は、戦争や自然災害などの際に、権力者が憲法を守らずに自由に行動することを認めるもので、権力者は憲法を守らなければならないという立憲主義の考え方に真っ向から反するものだ。
また、緊急事態条項によって、有事の際に医師や看護師など医療従事者は国に徴用される危険性がある。医療従事者の徴用は、過去に朝鮮戦争や湾岸戦争時に米軍の要請で行われた実績があり、日本の自衛隊が派兵された場合に医療従事者の戦地派遣も可能にするのが緊急事態条項である。さらに、徴兵制の導入や土地・建物の徴用による、財産権(憲法29条)の侵害、言論統制など、時の首相等に無制限の権力を認める危険性がある。
現在の国民投票法には、投票率の規定がないことやCMやインターネットにはデマ規制もないこと、外国資本への規制がないなど問題点が数多く指摘されている。
7月の参議院選挙後、向こう3年間は国政選挙が実施されない可能性があり、政府・与党にとっての「黄金の3年間」の間に憲法改正の国民投票実施の可能性がある。
このようなもとで、私たちに求められることは、何よりも「改憲発議反対」の広範な世論を起こすことである。9条改憲反対は依然として世論の多数派であり、ここに確信を持って、改憲の結果もたらされるものは戦争であるということを明らかにし、「戦争反対」の世論と連動して、改憲反対に取り組むことである。保団連が呼びかけている「憲法を生かし、生命・暮らしを守る署名」や、ミニリーフの普及にご協力をお願いしたい。
2022年11月9日