2022年8月27日

オンライン資格確認システム導入『義務化』に反対する ~中医協の答申に強く抗議し撤回を求める~

 愛知県保険医協会は、8月10日に開催された中央社会保険医療協議会の答申について「抗議声明」を発表し、8月26日に首相・厚生労働大臣・総務大臣・デジタル大臣・中央社会保険医療協議会委員・愛知県選出国会議員あてにそれぞれ提出しました。
 以下、全文を紹介します。

 中央社会保険医療協議会(中医協)は8月10日、2023年4月からマイナンバーカードによるオンライン資格確認システムの導入を原則として義務づける療養担当規則の改正案と、これに伴い今年10月からの電子保健医療情報活用加算の廃止とマイナンバーカードの健康保険証利用の促進を狙った診療報酬の見直しについて答申した。

 愛知県保険医協会が8月8日から実施しているオンライン資格確認に関する会員アンケート(8月24日現在・回答件数518件)では、71.8%が「義務化」に反対。「オンライン資格確認について必要性を感じていない」との回答が62.9%を占めた。この中には、システム導入を準備又は運用している医療機関も2割含まれている。「導入しない・導入できない」医療機関は39.4%にのぼる。

 改正案では、義務化の対象について紙レセプト請求以外の医療機関とされている。病院は99.5%、医科診療所の96.5%、歯科診療所91.4%が対象となる。8月14日現在、運用開始施設は26.8%に過ぎず、2023年3月末までに概ねすべての医療機関がシステム導入を目指すのは無謀と言わざるを得ない。
 厚労省は9月末時点で概ね5割の導入を目指すとしているが、現時点での導入ペースでは目標には届かない状況との認識を示している。8月24日に開催された厚労省・三師会の医療機関・薬局向け合同説明会で、厚労省はオンライン資格確認が原則義務化されることを前提に、速やかに導入準備を進めること、2023年4月導入に間に合わず療養担当規則に違反した場合は保険医療機関等の指定の取り消し事由になりうると説明し、力ずくで推し進める態度に出ていることは憤りを禁じ得ない。
 現在の健康保険証の目視確認で特段大きな支障がないにも関わらず、「義務化」でシステム導入やランニングコスト、セキュリティ対策など負担とリスクを一方的に医療機関に押しつけることになる。「義務化」を強行することで医療現場の混乱が増すことは必至だ。

 いま多くの医療機関は、新型コロナウイルス感染症の対応で逼迫し、通常診療との併存が困難な状況になっている。オンライン資格確認の導入について「コロナ対応でそれどころではない」「数年後に閉院を検討しているので導入できない」「負担が増えるばかりで必要性を感じていない」など、当会には多くの会員から問い合わせが続いている。政府・厚労省は医療現場の実情に目を向けるべきだ。

 当会は、義務化に対応できない医療機関を廃業に追い込み、患者の医療アクセスを阻害するオンライン資格確認システム導入「義務化」に反対し、8月10日の答申に対し抗議するとともに撤回を求める。

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