2022年4月17日

憲法を生かそう-ウクライナ情勢に乗じた改憲許されない

(愛知保険医新聞2022年4月15日号)

ロシアのウクライナ侵略は、「主権の尊重」「領土の不可侵」「武力行使の禁止」を謳った国連憲章に違反する侵略行為である。病院、原発、学校への攻撃は、国際人道法に反する戦争犯罪でもある。国連総会は2度にわたり決議を行い、140カ国もの賛同が寄せられ、国際社会の圧倒的な声が示された。ロシアは国際社会の総意に従い、ウクライナ侵略を中止し、即時撤退すべきである。

ウクライナ侵略を口実に国内では「核兵器を持とう」「憲法9条を変えよう」という動きが、自民党や日本維新の会、一部メディアなどから起こっていることは看過できない。「9条で国は守れるのか」、「力のみを信奉する相手には力でしか対抗できない」(国家基本問題研究所「意見広告」)などと、9条の破壊と改憲を一層推し進めようとする言動が勢いを増している。

国会の憲法審査会では、緊急事態条項が議論され、内閣が立法措置を行う緊急政令の必要を自民党などが主張している。戦前の旧憲法下、治安維持法の重罰化を国会ではなく勅令で制定した歴史を振り返る必要があり、国民の自由や民主主義を奪う暗黒の時代に逆戻りさせてはならない。

今回のロシアのウクライナ侵略が明らかにしたのは、軍事力と軍事同盟の強化は軍事対決・挑発を激化させ国際社会を分断させるだけで、平和を実現するどころか戦争と武力行使に帰結する、という事実に他ならない。

「力に対し力」で対抗するのではなく、日本がとるべき道は、憲法9条を生かした外交努力ではないか。憲法9条は、日本の過去の侵略戦争への深い反省から、政府の行為によってふたたび戦争の惨禍が起こらないよう決意をし、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めたものである。このような外交こそ、日本ができる最大の国際貢献ではないか。

保団連・保険医協会は、「憲法を生かし、生命・暮らしを守る署名」に取り組んでいる。

保団連は、「開業医宣言」(1989年制定)で、「人命を守る医師はいかなる戦争をも容認できない。私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する」と誓った。今こそ、この精神を、「戦争しない未来のために」「生命を守ろう」の大きな声に高めて、署名への協力をお願いしたい。

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