2022年6月7日

評議員会を終えて-平和国家のブランドが国の繁栄の基盤

(愛知保険医新聞2022年6月5日号)

政治の転換で命と生活を守る社会保障の充実を掲げた2022年度活動方針が評議員会で承認された。
新型コロナ禍で明らかになった脆弱な医療体制の立て直しが必要である。ウクライナ危機に便乗した敵基地攻撃能力や核共有の危険を明らかにし、憲法9条を生かした外交で平和な東アジアを作ることが必要だ。
協会の基本は会員の要求に根差した活動である。5回連続の診療報酬マイナス改定で余裕のなくなった医療機関経営を立て直すためにも、10%以上の大幅引き上げが必要である。同時に患者窓口負担の引き下げが急務だ。政府の進める医療改悪に反対する世論を作るために署名活動に取り組み、それをすべての政党・会派に働きかける。
要求実現で協力を得られる議員を増やすためにも7月の参議院選挙はチャンスである。立候補予定者にアンケートを送ったので、その回答を吟味して投票しよう。また保団連が作った「選挙に行こう」リーフレットを患者さんに広めよう。そこには75歳以上の医療費窓口2倍化法案や、病院のベッド数を減らす法案への各政党の態度が、賛成か反対かに色分けして書いてあり、分かりやすい。
とりわけ今度の選挙は、これからの日本の進路が、「戦争と平和」が問われている。もしも改憲勢力が3分の2を占めることになれば憲法9条改悪が現実味を帯びてくる。その先に待っているのは、「台湾有事」の際に沖縄から南西諸島に配備された自衛隊ミサイル基地が中国からの第一打撃の標的となることである。経済安全保障推進法が成立可決した。それはアメリカの中国排除の経済政策に組み込まれることである。日本企業が米国内法の対象となり日本の最大輸出先である中国市場を失うこととなる。日本の経済活動に壊滅的な傷跡をもたらす。首都上空を低空飛行するオスプレイを見ると、日本の現状がよく分かる。
180年前の日本で、国際情勢と西洋の軍事技術を学ぼうとした蘭学者の1人である渡辺崋山は、テロリスト水戸浪士を「備えなくして攘夷の愚劣さ」と批判し、「蛮社の獄」を問われ自殺した。明治政府の富国強兵策で隣国への侵略戦争に味を占めた日本は、80年前に国内総生産10倍の違いを無視して連合国に戦争を仕掛け、悲惨な結末を迎えた。
ロシアのウクライナ侵攻で明らかになったことは、軍事力強化は核戦争の危険を高めるだけであり、原発施設への攻撃は防ぎようがないことである。日本の防衛を確かなものにしたいのであれば、原発施設をなくすべきである。憲法9条がもたらしているアジアの国々からの信頼感、平和国家という世界ブランドを大切にすべきである。

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