(愛知保険医新聞2018年6月25日号)
会員と国民の要求に依拠して
第69回定期総会を過去最高の会員数9074名で迎えられたことを喜びたい。会員にとって「頼りになる協会」作りに努めたからである。数は力なり、来る2020年70周年を9200人会員で迎えられるよう、役員と事務局の協力の下に励みたい。
社会保障と平和を守る勢力を多数派に
我々の基本姿勢は平和の希求である。国民の命と健康を守る医師・歯科医師の立場から、社会保障と平和を守ることを一体の課題とする。国民主権と議会制民主主義を踏みにじる安倍政権を退陣させるために、市民と野党の共闘の進展に役割を果たす。
社会保障は国の予算配分を「指導支配すべきもの」(朝日訴訟、東京地裁浅沼判決)であり、国が優先すべき課題は「救貧、健康な生活水準」(社会保障制度審議会1962年勧告)である。にもかかわらず「戦争する国作り」と「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指す安倍内閣が進める方向は真逆である。健康・医療・介護分野を産業化におとしめ、憲法への自衛隊明記で安全保障法違憲論争に終止符を打とうとしている。
医療・介護の再生をめざす方針は、診療報酬の総枠拡大、患者負担増中止、保険でより良い歯科医療、消費増税中止・ゼロ税率の実現である。運動の基本は、署名を集めて会員・患者さんの声を国会に届けることである。憲法を生かす全国3000万署名への取り組みと連動して、政治を動かす力となる。診療報酬は安全安心な国民医療の原資であり、社会保障を充実することで経済を活性化させることもできる。民主党政権での2回の診療報酬改定は、ごくわずかではあったがプラスだった。
華やいだ演出に加えて、展望が開けた2つの講演
小林龍二氏「水族館から学べること」からは、逆境を乗り越えた知恵を、実体験を交えて楽しく学んだ。目加田説子氏「世界の中のニッポン―私たちの責任―」では、前半は日本人、特に若者の政治姿勢の傾向を知った。後半では演者が意図したように、希望をもらった。“エシカル”つまり「倫理的投資」が世界の趨勢である。環境や人権に配慮しない会社は責任投資原則から外れてしまい、たとえ大企業といえども今日の国際社会では生き残れない。公文書の改ざん、ねつ造、隠ぺい、セクハラ高官は“エシカル”ではない。恥ずかしい政治を一刻も早く辞めさせることが、日本人の急務である。