2024年4月17日

薬価の選定療養に反対し撤回を求める特別決議

政府は,2024年10月から,後発医薬品のある長期収載の先発医薬品の処方について,「選定療養」の仕組みを導入し,一定の条件の下,先発品と後発品の薬価差の1/4の金額を保険外診療として患者に自己負担を求める制度を実施しようとしている.

今回の薬価の選定療養導入は,すでに保険収載されている先発医薬品,後発医薬品の差額を患者に自己負担させるものであり,保険診療の範囲で治療を受けたにもかかわらず,患者は一部負担金以外の負担を強いられることとなる.強引に後発医薬品使用に誘導するものであり,医療保険制度の根幹を揺るがしかねない.

そもそも「選定療養」は,特別の病室の差額ベッド代など,保険には収載されていない療養を患者に提供することであり,保険導入を前提とせず患者の選定による療養である.

今回の動きは,薬剤の一部保険外しであり,歯科における金属材料の保険外しの動きを想起させる.金属材料が保険から外されて選定療養化されれば,1970年代に社会問題となった歯科医療における差額徴収問題と同様の様相を呈しかねない.

今回の歯科診療報酬改定において,クラウンブリッジ維持管理料から金属歯冠修復物を対象外とした.今後,値動きの激しい金属材料を保険からはずし,選定療養とすることを危惧する.金属材料価格の乱高下は,政府・厚労省が責任を持って安定供給できる仕組みを考えるべきである.

患者に過大な自己負担を負わせる選定療養の拡大は,混合診療に道を開くものであり,断固として容認できるものではない.下記事項を要望する.

一,後発医薬品のある先発医薬品(長期収載医薬品)を使用した場合に,薬価差額の一部を患者負担とする選定療養の導入を撤回すること.

以上,決議する.

2024年3月30日・31日
愛知県保険医協会 歯科新点数説明会参加者一同

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