2024年4月17日

歯科医療費の総枠を拡大し、大幅な診療報酬引き上げを求める決議

2024年度診療報酬改定は,診療報酬全体でマイナス0.12%と,6回連続のネットでのマイナス改定とされた.診療報酬本体プラス0.88%から賃上げ対応分を除いた技術料引き上げ分は、わずかプラス0.18%である.今回の賃上げ対応では,一般産業平均水準への改善に到達することはできず,技術料の引き上げも不十分であり,歯科医療従事者の賃上げにはほど遠い.歯科診療報酬は,賃上げ対応を含めてもプラス0.57%であり,実質的に技術料に充てられる改定率は前回改定を下回ることが推定される水準で,歯科医療機関の経営改善は困難である.

今回の改定では,歯科医療従事者の賃上げ対応として「歯科外来・在宅ベースアップ評価料」(Ⅰ)・(Ⅱ)が設けられたが,多くの歯科医療機関では(Ⅱ)を算定できないことが予想される.賃上げ対応は,長年の低診療報酬政策の下,疲弊している歯科医療機関の経営改善とともに考えられなければならず,そのためには小手先の評価料ではなく,初・再診料や,日常的に行われる基礎的技術料の大幅な引き上げが一番大切である.

また,か強診が廃止されたが,あらたに小児口腔機能管理料の注3に施設基準が設けられた.この間,施設基準などのハードルを設け,差別化する改定が行われている.今回の改定でも同一の治療を行うにもかかわらず,施設基準の届出の有無で算定項目が異なる「一物二価」の体系が残された.広く実施され,多くの医療機関が算定する点数を正当に評価することこそ求められる.

政府は,歯科医療機関の実情に目を向けることなく,マイナンバーカードの普及に血道を上げ,医療DXの促進と称して一部の医療機関しか算定できない加算を新設したり,マイナ保険証の利用率を増やした場合の支援金などに膨大な資金をかけている.本来はこの資金を診療報酬の増額に振り向けて,国民が納得する医療が享受できる環境を整えるべきである.医療機関も経営改善によって職員の賃上げも実現できる. 私たちは,国民医療・国民皆保険制度を守り,医療従事者が安心・安全な医療を患者さんに提供できるよう日常診療を適切に評価し,初・再診料をはじめとする基礎的技術料を中心に,診療報酬の改善を求め,下記事項を要望する.

一,患者さんに寄り添った歯科医療を提供し,歯科医療従事者が安心して働くことができる賃上げの実現,疲弊した歯科医療機関の経営を改善できるよう,歯科医療費の総枠を拡大し,診療報酬を大幅に引き上げること

以上,決議する.

2024年3月30日・31日
愛知県保険医協会 歯科新点数説明会参加者一同

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