2023年9月14日

マイナ保険証-「保険証を残して」の声を大きく広げよう

(愛知保険医新聞9月15日号)

政府はマイナンバーカードと健康保険証の一体化(マイナ保険証)のため、来年秋の現行保険証廃止に向け必死になっている。一体化のメリットとして、「受診履歴に基づく質の高い医療を実現」「医療機関、保険者等における効率的な医療システムの実現」などを掲げているが、マイナンバーカード取得が実質義務化となり、取得が困難な人や高齢者施設等で管理ができないなどの声から、医療機関にかかれない人が出ることが危惧されてきた。
医療機関の窓口でも、マイナ保険証による受診で、他人の情報が紐付けられていたり、資格があるにも関わらず「資格なし」と表示されたりとトラブルが相次いでいる。医療機関に業務負荷がかかっているだけでなく、窓口負担が10割となる事例もあり、患者にも負担を強いている。
岸田首相は、8月4日の記者会見で、マイナ保険証を保有しない全ての人に申請なしで「資格確認書」を発行するとしたが、有効期限(5年以内)がある。また、現行の保険証の様式で、実務・システムも活用するとされており、新たに資格確認書にする意味はない。保険証を引き続き運用させることで十分である。
マイナンバーカードに他人の情報が紐付けられている問題については、6月からデジタル庁を中心に「総点検」が始まった。中間報告(8月8日)では、保険証で新たに1,069件の誤登録があったと報告されたが、この数字は、保険者全体3,411のうち、1,313団体の自主点検によるものであり、実際にはこの数に留まらないことが予想される。さらに、不安のある国民には、マイナポータルで情報に誤りがないか確認できることを案内し、国民自らの点検を促そうとしている。これが現段階ですすめられれば、他人の情報を閲覧する・自身の情報を閲覧される可能性をも高めることになる。
保険医協会は医療のデジタル化に反対するものではない。しかし、マイナ保険証の問題を積み残したままに、来年秋の保険証廃止には反対である。そして、政府がマイナ保険証を推進する背景として、監視・統制社会、医療・社会保障費の抑制・削減、企業のデータ利活用、などが狙われていることにも注意が必要である。
協会・保団連では、「現行の健康保険証を残してください」請願署名に取り組んでいる。国民の声をさらに大きくし、国会に届けるために、ぜひ再度署名にご協力いただきたい。

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