2023年9月5日

ALPS処理汚染水の海洋放出中止を求める

 愛知県保険医協会公害環境対策部は、「ALPS処理汚染水の海洋放出中止を求める」の抗議文を、8月28日付で内閣総理大臣、経済産業大臣、環境大臣、東京電力宛に送付しました。


東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から12年、今なお多くの人びとが避難生活を強いられ、復興に向け懸命の努力が続いている。

政府は、8月24日、全漁連、福島県漁連らが反対する中、ALPS処理汚染水の海洋放出を開始した。ALPS処理汚染水の海洋放出に強く抗議するとともに、速やかに中止することを求める。

政府と東京電力は2015年8月の福島県漁連への文書回答において、「漁業者をはじめ、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします」と約束している。全漁連、福島県の県漁連、市町村議会をはじめ福島県民の多く、さらには隣接する宮城県や茨城県など全国の多くの関係者が現在も海洋放出反対の意思を示していて、関係者の理解が得られたとは到底言えず、ALPS処理水の海洋放出は許されない。そもそも、原子炉建屋に流入する地下水を止め、汚染水をこれ以上増やさない抜本的な対策や、海洋放出以外の処理方法についてもまともに議論・検討がされていない。大型タンク保管案やモルタル固化処分案など、国内外の英知を結集して他の方法についても真剣に検討すべきである。

また、トリチウムは体内に入った場合、内部被曝の懸念がある。さらにトリチウム以外の放射性核種についても62核種を基準値以下にして放出するとのことだが、62核種以外の放射性核種が汚染水中に存在する可能性も否定できない。また、汚染水中にどの核種がどのくらい存在するか検証されておらず、放射性物質の総濃度、総量が不明のまま海洋放出しているため、被曝の実態が全く議論できない。さらには、本格操業を開始したばかりの福島県の漁業に壊滅的な打撃を与えることになり、これまでの復興への努力を水泡に帰すことにつながる。

                                          以上

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