愛知県保険医協会は、美浜原発3号機の運転停止を認めない大阪地裁の仮処分申請却下の決定に抗議する理事長声明を、12月22日付で大阪地裁あてに送付しました。
12月20日、大阪地裁(井上直哉裁判長)は、関西電力美浜原発3号機の安全性について問題があるとして、住民が運転差し止めを求めた仮処分申請で、住民の申し立てを却下する決定を行った。
この決定は、40年を超えて稼働中の原発に対する初の司法判断として注目されていた。しかし、政府の原子力規制委員会の方針に追随し、「関電による経年劣化対策に不合理な点はなく、耐震性にも問題はない」と関電側の主張をほぼそのまま受け入れるなど、問題が多い。住民が問題視した圧力容器の劣化の評価手法については、劣化を予測する手法の妥当性に議論があり、裁判所はこうした議論にも向き合って科学的な検討と判断をすべきであった。美浜原発3号機は、2004年に、長年点検リストから漏れていた配管が劣化して破れ、噴き出した熱水と蒸気を浴びた作業員5人が死亡する惨事が起きている。このような事態を繰り返さないためにも、科学的検討を経た合理的な判断が求められた。このほか、原発密集地での安全な避難計画の問題にも、関電の計画に「不備があるとは認められない」と、合理的な根拠を示さず判断しているのも問題である。
政府は、東日本大震災の教訓を踏まえて当時の政府が定めた「原則40年、最長60年」の運転期限を無期限に延長する仕組みづくりを進めているが、政府方針にお墨付きを与えるような大阪地裁の判断は、問題と断じざるを得ない。
私たちは、いのちと健康を守る医師・歯科医師の団体として、美浜原発3号機の運転停止を認めない大阪地裁の決定に抗議する。