2023年10月5日

新型コロナ対策 公費負担、診療報酬の特例措置継続を

新型コロナウイルス感染症については、5月8日以降、感染症法上の位置づけが5類に変更され、感染対策などの見直しが行われた。外来ではコロナ治療薬以外の検査や治療費の公費負担がなくなり、入院についても、全額公費から高額療養費制度を用いた減額措置に縮小された。また、マスクや消毒・換気などの感染症対策や、外出・行動の自粛などが緩和され、感染者数も定点把握となった。
しかし、その後の感染状況は、定点医療機関当たりの感染者数が徐々に増え続け、現在は第9波と言わざるを得ない状況に拡大している。これは検査・治療費が自己負担となることで、検査を受けない人や医療機関を受診をしない人が増えていること、感染対策の緩和で国民の新型コロナに対する意識も変化し、自覚のない感染症患者が、多くの人が集まる行事や場所に出かけて感染を広げていることが容易に想像できる。また、定点把握では感染力が強い新型コロナの感染状況の把握が十分ではなく、急速な感染拡大に対応できないなどの問題も指摘されている。
協会では政府に対して、7月28日に、高額なコロナ治療薬の公費負担の継続と検査やその他の治療費、入院治療費も以前の公費負担に戻すこと、インフルエンザなどで設けている「注意報」「警報」など定点把握時の基準値を定め、国の責任で感染症拡大状況に対応した有効な感染症対策をとり国民への周知・徹底を行うこと、診療報酬上の臨時的な取扱いを当面継続することなどを求め要望書を提出した。さらに、10月以降の公費負担縮小の検討が明らかとなった9月12日にも、再度要望書を提出した。
しかし、政府・厚労省は9月15日、10月以降は高額な新型コロナ治療薬の費用を患者の負担割合に応じた一定額の自己負担とすること、診療報酬上の特例措置の点数を引き下げることなどの事務連絡を発出した。このような措置は、感染拡大状況に逆行し、必要な医療をさらに受けにくくすることになる。
今、医療機関は新型コロナの患者とともに、インフルエンザなどの発熱患者の増加への対応が求められている。これからコロナとインフルの同時流行の本格的な時期を迎える。まだ感染力が強い新型コロナの感染拡大防止と、医療提供体制を確保し十分機能させるために、自治体や医療機関まかせでなく、国の責任で必要な感染症対策と財政措置をとることを強く求める。

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