新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について
新型コロナウイルス感染症に係るワクチン(以下「新型コロナワクチン」)の接種に関する取り扱いについて紹介する。
Q1.新型コロナワクチン接種にあたって、診療録を作成する必要はあるか。
A1.保険診療分とは別で診療録を作成する必要はあるが、予診票のコピー又は控えを診療録としても差し支えない。令和3年5月28日付け厚労省事務連絡にて示されている。
Q2.予診票を診療録として取り扱う場合、保存期間に定めはあるか。
A2.診療録に準じて、原則として5年間保存する必要がある。
Q3.予診票に「その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか」との設問があるが、事前に主治医に問合せをする必要があるのか。
A3.主治医への問合せは必須ではない。また、予診票にて当該設問が空欄又は「いいえ」となっていても、予診医が接種可能と判断した場合は接種が可能である。
※5月28日より当該設問を削除した様式が示されている
Q4.新型コロナワクチン接種にあたっての予診に対して、初診料及び再診料は算定できるか。
A4.算定できない。新型コロナワクチン接種の費用には診察料(初診料及び再診料)が含まれているため、二重に請求することはできないこととされている。
Q5.慢性疾患など、他の疾患の治療と同時に新型コロナワクチン接種を行った場合、初診料及び再診料は算定できるか。
A5.算定できない。問4のとおり、診察料は新型コロナワクチン接種の費用に含まれている。なお、他の疾患に対する特掲診療料については算定できる。
(6/28追記)
・予診時から接種後の経過観察を行った時間内に診察
…初・再診料等は算定できない。
・予診の前や経過観察後に他の疾患について診察
…初・再診料等は算定できる。
※6/17に厚労省の臨時的な取扱いについて(その49)が示され、ワクチン接種の同日において予診・接種・接種後の健康状態の観察の前又は後に、別の傷病に対して診療を行った場合は、初診料、再診料又は外来診療料を算定が可能になりました。
Q6.新型コロナワクチン接種にあたり副反応等で発熱が予想されるため、予めカロナール等の解熱鎮痛薬を処方する場合、薬剤は保険請求できるか。
A6.保険請求できない。予防医療となるため保険給付外であり、自費請求となる。
Q7.新型コロナワクチン接種後の副反応等について診察を行った場合、医療費は保険請求できるか。
A7.保険請求できる。なお、副反応による健康被害が生じた場合は、自己負担分については「予防接種健康被害救済制度」の対象となる場合がある。申請は、健康被害を受けた本人又は家族が、予防接種を受けた当時の所在地の市町村長に申請書を提出する。(「公費負担医療等の手引」P.557参照)
Q8.新型コロナワクチン接種を在宅で行った場合、接種後の経過観察は医師が行わなければならないか。
A8.利用者本人の希望に応じて、医師でなく、訪問介護や訪問看護の従事者が対応しても差し支えない。以下の場合が想定される。
・予め居宅サービス計画に位置付けられた訪問介護や訪問看護について、サービス提供時間内やサービス提供時間が含まれる区分内で経過観察を行う
・予定していた居宅サービス計画の日時を、接種の日時に合わせて変更した上で経過観察を行う
・臨時的に追加で介護サービスを位置付けて経過観察を行う
Q9.新型コロナワクチン接種の経過観察のために居宅サービス計画の内容を見直す必要がある場合、接種前に計画を見直しておく必要があるか。
A9.見直しは必要だが、サービス提供後であっても差し支えない。また最終的には文書による同意が必要だが、サービス提供前に説明を行い、同意を得ていれば、サービス提供後に文書を得ることでよい。