2021年度の指導

集団的個別指導は資料配布のみ 高点数理由の個別指導は実施せず

 今年度の東海北陸厚生局指導監査課の指導対象保険医療機関等選定委員会が、3月24日(水)に開催された。今年度の指導計画は既に決定しているが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、例年とは異なる実施となる。協会では6月9日に、東海北陸厚生局に2021年度の指導等に関する行政文書の開示請求を行っており、開示され次第、保険医新聞で報告する。
 2021年度の指導は、1月に厚労省から出された事務連絡に基づき実施される。6年毎の指定更新時等に行われる集団指導と、昨年度は中止となった高点数医療機関に対する集団的個別指導については、今年度は対象医療機関への「資料配布のみ」となる予定だ。すでに東海北陸厚生局指導監査課のホームページで、今年度のレセプト1件当たりの平均点数が公開されている(別表)
 

 なお、昨年度まで皮膚科の診療区分となっていた形成外科と美容外科が、今年度から外科の区分に変更となった。集団的個別指導は、各医療機関の前年のレセプト1件当たり平均点数の1.2倍(病院は1.1倍)を超え、かつ上位8%に該当する場合に対象となる。個々の医療機関の平均点数については、東海北陸厚生局指導監査課に照会すると知ることができる。
 今年度の個別指導については、新規個別指導と「再指導」や「情報提供」によるものは実施されるが、従来、前々年度に集団的個別指導の対象医療機関で、前年度も高点数であった医療機関に対して行われる「高点数理由」の個別指導は実施されない。厚労省は、2023年度までは高点数理由による個別指導は実施しないとしている。

指導の延期・中止の要請書提出
 愛知県では、5月12日から6月20日まで新型コロナ感染症緊急事態宣言が出されており、その期間の個別指導は、新規指導も含め実施が延期されていた。
 第4波は落ち着きつつあるとはいえ、医療機関では日常診療の中で、新型コロナ感染症(疑い)の患者に対する検査や治療、院内感染対策の徹底などに加え、ワクチン接種への協力が求められるなど、医師・医療従事者に大変な負荷がかかり、多忙を極めている。指導通知は実施の1カ月前には出されるが、今後ワクチン接種が一般の人や職域などにも拡大していく中で、さまざまな業務と重なる可能性もある。協会ではこうした状況を踏まえて、東海北陸厚生局長・同指導監査課長宛てに、指導の中止・延期を求める要請書を5月28日付で提出した。要請内容は次の2項目。

・新型コロナウイルス感染症が収束するまで、指導等を中止・延期すること
・新型コロナウイルス感染症患者の治療やワクチン接種など医療機関が多忙な業務を強いられる期間は、新規個別指導も含め、指導日の変更、延期など柔軟な対応をとること

 今年度の個別指導実施通知には、「新型コロナウイルス感染症の対応、ワクチン接種等のため、指導の対応が困難な場合については、当局指導監査課宛てご相談ください」との文言が入っていることがわかったが、さらに一歩踏み込んだ措置や、医療機関の立場を考慮した対応の徹底が求められる。

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