2021年度の指導・監査等

2021年度の指導・監査等 来年度の高点数理由による個別指導は実施せず

 今年度の保険医療機関の指導・監査等は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高点数を選定基準とする集団的個別指導は中止となった。個別指導では新規個別指導は実施されているが、それ以外の個別指導は優先度が考慮され、「情報提供」「再指導」の理由によるもののみが実施されている。保団連では昨年12月に、従来から要請していた「高点数」の選定基準の廃止を求めて厚労省への要請を行った。また1月には緊急事態宣言を受け、新型コロナウイルスの感染が収束するまで指導等の中止を求めて要請書も提出している。
 こうした状況の中、厚労省は「令和3年度における指導監査等について」の事務連絡を1月18日に発出した。事務連絡では、「実施にあたっては十分な飛沫及び接触感染対策を講じること、必要に応じて指導時間の短縮や被指導者から新型コロナの対応等のため指導への対応が困難との申し出があった場合は、実施の延期等柔軟に対応すること、知事による移動、外出自粛要請が出された場合は実施を見合わせるなど十分考慮すること」との内容が記載されている。具体的な指導等の取り扱いは別掲のとおりとなっている。
 来年度の集団指導、集団的個別指導については、実施はするが資料配布、動画配信でも可とされている。集団的個別指導については、令和3年度にレセプトの平均点数が高点数として集団的個別指導の対象医療機関となり、翌年の令和四年度も高点数である医療機関は、従来は翌々年の令和5年度に高点数理由による個別指導の対象となるが、事務連絡では「令和5年度における高点数を理由とする個別指導は実施しない」とされている。また個別指導も実施するが、令和3年度は「高点数の保険医療機関等に対する個別指導は実施しない」とされている。
 事務連絡には、今年度の集団的個別指導の対象医療機関が令和3年度も高点数であった場合、令和4年度の高点数理由による個別指導を実施するかどうかについては特に記載はないが、厚労省は「令和5年度までの高点数理由による個別指導は実施しない」としている。今回の取り扱いで、協会・保団連が要望する高点数を選定基準とする集団的個別指導・個別指導が廃止されるわけではないが、今後3年間は集団的個別指導から個別指導への連動は行われないこととなった。要請の成果として確認するとともに、不合理な「高点数」の選定基準の廃止を求めて引き続き運動を行っていく。

令和3年度における指導監査等について(抜粋)
 1月18日付・厚労省保険局医療課医療指導監査室事務連絡より
(1)集団指導(指定時、更新時、登録時、改定時)
   …実施する(資料配布、動画配信も可)。
(2)集団的個別指導…実施する(資料配布、動画配信も可)。ただし、令和四年度も引き続き高点数であった保険医療機関に対して令和五年度における高点数を理由とする個別指導は実施しない。
(3)個別指導…実施する。ただし高点数の保険医療機関に対する個別指導は実施しない。病院に対しては緊急を要する場合のみとし、実施する場合は原則院外で行う。
(4)新規個別指導…令和二年度未実施分も含めて実施する。病院に対して実施する場合は原則院外で行う。
(5)監査…実施する。病院に対しては緊急を要する場合のみとし、実施する場合は原則院外で行う。
(6)適時調査…実地での調査は原則中止する。令和3年度においては、病院による届出施設基準の自主点検を行わせることで実施とみなす。コロナ収束後の適時調査において、返還事案が発生した場合の遡及は、原則当該自主点検を行った時点までとする。

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