長期収載品に係る選定療養についてのQ&Aを掲載する。なお、制度の詳しい説明は愛知保険医新聞9月15日号にて紹介しているため、併せて参照されたい。
長期収載品であっても選定療養の対象とならない場合
(1)長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異があり、長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師が判断する場合
(2)患者が後発医薬品を使用した際に、副作用、飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との治療効果の差異があったと医師等が判断し、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合
(3)学会作成のガイドラインにて、長期収載品から後発医薬品へ切り替えないことが推奨されていることを踏まえ、医師が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合
(4)患者の好みによらず、後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化できないなど、剤形上の違いにより、長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合
(5)後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合
Q1.入院外の患者において、選定療養の対象となるのは処方薬のみか。
A1.自己注射に使用する在宅薬剤も対象となる。なお、令和6年9月26日付事務連絡において、入院外の患者に対する外来・往診・訪問診療の際に医療機関が注射を行った場合は、選定療養の対象外とされた。
Q2.上記(1)~(5)のいずれかに該当し選定療養の対象とならない処方を行う場合、レセプト「摘要」欄に記載が必要な事項はあるか。
A2.以下のとおり設けられているレセプト電算処理システム用コードを用いて、上記(1)~(5)のいずれに該当するかを入力する。
(1):820101320 (2):820101321
(3):820101322 (4):820101323
(5):820101324
Q3.問2のコードについて、院外処方の場合も理由の記載は必要か。
A3.必要。その場合であってもレセプトに薬剤名の記載は必要なく、問2のコードを用いて理由のみを記載する。なお、該当する理由が複数ある場合は主たる理由のみを記載する。
Q4.問2のコードについて、院内処方の場合であって選定療養に該当する薬剤が複数ある場合、該当する薬剤ごとに上記(1)~(5)の理由を記載する必要があるか。
A4.そのとおり。同じ理由であっても薬剤ごとに記載する。
Q5.上記(5)は出荷停止や出荷調整等の安定供給に支障が生じているか否かで判断することでよいか。
A5.供給状況に関わらず、現に当該医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが困難かどうかで判断する。院内採用品に後発医薬品がない場合も上記(5)に該当する。
Q6.国の公費負担医療制度や子母障精福といった地方単独の公費負担医療制度により、一部負担金が助成等されている患者が長期収載品を希望した場合、選定療養となり自己負担は発生するか。
A6.いずれの場合も患者希望であれば選定療養の対象となり、自己負担が発生する。
Q7.生活保護受給者である患者が長期収載品を希望した場合、どのように取り扱うことになるのか。
A7.生活保護受給者は長期(180日超)入院以外の選定療養は医療扶助の対象とならず、後発医薬品を処方等することになる。