愛知保険医新聞2023年2月25日号掲載
中村区 吉友 優
私は一昨年6月に名古屋市中村区で「太子デンタルクリニック」を開設しました。
私共の診療所はデンタルチェアが二台で、医療スタッフが、歯科医師の夫と私だけの小さな診療所です。2人とも長年高齢者を対象とした歯科医療に従事して参りました。
診療所は完全バリアフリー構造で車椅子を一台常備しています。受付隣の問診机では、受診患者のバイタルサインを測定して記録を取っています。また、一つのカルテファイルの中に台紙に貼った添付文書も一括して保管してありますのでカルテ整理もやり易く、患者一人一人に対してきめ細やかな医療が提供できています。勤務医時代には色々と感じることがありましたし、可能であれば改善したいなと思うこともありました。開業医は自身の裁量でこれらを自由にできるので、勤務医と比較して大きな魅力だと思います。
診療所の1日は規則正しく過ぎていきます。病院勤務の経験しか無かった私共でも、開設後1年も経過すれば年間スケジュールも把握でき、気持ちに余裕も出て来ます。すると、ようやくここで自身の勉強についての時間が出来ます。
家庭医として最新医療の知識は理解しておきたいのですが、範疇が広すぎるので、受診患者の疾患を基準にして、まずはそれを勉強する様にしています。また、診断がつかない患者が受診した場合は文献を紐解いて調べるしか方法がありません。自身の勉強に関しては、保険医協会や歯科医師会の講習会をよく利用しています。この様にして一つ一つ丁寧に診察していきますと、疾患のこともよくわかり、患者とのインフォームドコンセントの質も上がってきます。
「口は健康の入口、魂の出口」と昔から言われています。患者には現在のADLを長期に渡って維持出来るように、口腔機能精密検査で客観的に評価しながら、これからも歯科医師として超高齢社会に貢献していきたいと思っています