新型コロナウイルス感染症・物価高騰対応 各種補助金等の税務処理(2022年分確定申告)

 「自宅療養者等への医療提供事業交付金」の収入計上時期など新型コロナ・物価高騰対応補助金等の税務処理・会計処理についてアップしました。

 新型コロナウイルス感染症の影響により期限までに申告・納付等をすることができない場合、今年の申告は所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を申請し承認を受けることにより、その理由が終了した日から2か月以内の範囲で期限延長が認められます。

 新型コロナウイルス感染症対応等の各種補助金の収入計上時期については、原則として補助金等の支給決定がされた日に属する年分の収入金額となり、「雑収入」として計上します。具体的な収入計上時期などを下表にまとめました。詳細は関与税理士とご相談ください。


1.感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金の税務処理

(1)収入と経費に関する税務処理

 原則、補助金の収入権利が確定した日(交付決定通知書の交付決定日)に属する年分の収入として処理します。その対象経費として支出した経費は、支出した年分の経費として処理します。ただし、補助金を申請したが、その年内に交付決定していない場合は、例外として対象経費が発生した年で収入計上ができます。

(2)固定資産を取得した際に関する税務処理(圧縮記帳)

 補助金を取得額10万円以上の固定資産の取得に充てた場合は、その取得に相当する金額を総収入金額に計上しない(総収入金額不算入、いわゆる「圧縮記帳」)ことができます。つまり、その固定資産の取得価額のうち補助金を充てた部分の金額については、収入や必要経費として計上しなくてよいということです。その固定資産の取得価額は、収入に計上しなかった補助金等の額を控除した残額となり、この残額を基礎として減価償却費の計算をします。ただし、固定資産税(償却資産税)については、圧縮記帳前の取得価格で計算します。
 この取扱いは、措置法第26条の適用を受けている場合も対象となります。この手続きは、補助金を「返還しないことが確定した日」に属する年分、すなわち「確定通知書」の日付が属する年分に適用することができ、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」(図1参照)を確定申告書に添付して所轄税務署長に提出します。詳細は関与税理士とご相談ください。
 

図1 国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書

2022年中に確定通知があった場合


2.雇用調整助成金の税務処理

 給与を補填する制度のため、休業日の属する事業年度に未入金計上します。年度末に確定通知が届いていない場合でも、見積により収入計上が必要です。例外として、新型コロナウイルスの特例措置で、事前の休業等計画の提出を行っていない場合、原則として交付決定日に属する年分の収入として処理します。


3.新型コロナウイルスワクチン接種費用等の課税関係

 ワクチン接種の取扱いは、予防接種と同じ取扱いになります。しかし、個別接種促進のための支援事業などについては、診療所におけるさらなる接種回数の底上げを図るための協力金の性質がありますので、取扱いが異なります。


4.事業税の課税関係と確定申告の際の留意点

 事業税は、自由診療収入(一般収入)に係る所得金額が課税対象となります。所得税の確定申告の情報をもとに、その所得金額から事業主控除(290万円)を差し引いた金額の5%が事業税として賦課されます。
 前記の「新型コロナウイルス感染症自宅療養者等への医療提供事業交付金」や「個別接種促進のための支援事業交付金」などの協力金は、業務の対価として支払われるため自由診療収入に加算され計算されます。一方、「感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」や「社会福祉施設燃油価格高騰対策支援金」など補助金は、業務の対価として支払われるものではありませんので、その収入金額は社会保険診療の収入金額と自由診療の収入金額で按分し、自由診療収入の割合分が自由診療収入に加算され計算されます。
 確定申告の際、「青色申告決算書」(青色申告の場合)、「収支内訳書」(白色申告の場合)の「◎本年中における特殊事情」欄に、「補助金等の名称」と「その金額」を記載してください(図2参照)。県税事務所で判断して事業税の計算を行います。
                         

図2 青色申告決算書(3ページ目)

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