2022年2月8日

診療報酬改定-医療費抑制に抗し、引き上げを求めよう

(愛知保険医新聞2022年2月5日号)

2年に1度の診療報酬改定が4月に実施される。今次改定も、薬価引き下げの財源が診療報酬本体の財源には充当されず、診療報酬本体は0.43%の引き上げ、薬価等で1.37%の引き下げとなり、全体では0.94%の引き下げと、5回連続のマイナス改定となった。
診療報酬本体の改定率に含まれている、新型コロナ対応医療機関等の看護職員の処遇改善や、現在助成制度で支給されている不妊治療の保険適用など、政府方針による特例的な対応分を除けば、真水の技術料本体の改定率はわずか0.23%である。特にこの2年間、新型コロナウイルス感染症の拡大による受診抑制などの影響を受けながら、感染防止対策や検査・治療、ワクチン接種等で奮闘してきた医療機関にとって、非常に厳しい改定である。医師・医療従事者の労働環境の改善や不合理是正など、医療の質を向上させていくためには、医療費の総枠を拡大し診療報酬を引き上げることが必要であり、医療現場をますます疲弊させるマイナス改定を許すことはできない。
今次改定の「診療報酬改定の基本方針」や中医協でまとめた「これまでの議論の整理」では、「新型コロナウイルス感染症にも対応できる」としながらも、「効率的・効果的な医療提供体制の構築」や「アウトカム評価の推進」など従来の改定の方向性は変わらず、医療機関の機能分化・強化、かかりつけ医・かかりつけ歯科医等の機能評価、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価などの文言が並ぶ。また初診からのオンライン診療の恒久化や一定期間内に処方箋を反復利用するリフィル処方など、医師の対面診療を軽視する内容が含まれており、医療のあり方を大きく変えることが危惧される。これらは医療費の抑制を至上命題とする政府の方針が色濃く反映されたものである。「新経済・財政再生計画改革工程表2021」には、更なる包括払いなど診療報酬改定での必要な見直しに加え、2023年度にかけて「かかりつけ医」の制度化の検討などもあげられており、その動向も注視が必要だ。
協会では、今後も政府の医療崩壊を招く改革には反対するとともに、診療報酬の引き上げを求め運動を続ける。また、告示・通知の発出から改定までの周知期間が短い中で、さらに複雑化している診療報酬と改定内容を正確に理解できるように、医科・歯科ともに分かりやすい改定テキストの発行と説明会の開催を予定している。ぜひご利用いただきたい。

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