2021年6月26日

自治体調査-コロナ禍の今こそ自治体の出番

(愛知保険医新聞2021年6月25日号)

保険医協会地域医療部では、毎年、県内全ての自治体に対して、医療費助成制度や任意予防接種、健診事業などについての実施状況の調査を行っている。
子ども医療費助成制度については、18歳年度末までの対象年齢拡大が広がっている。通院では名古屋市と豊山町が、入院では瀬戸市、知立市、尾張旭市、豊山町、大口町が所得制限なし・窓口負担無料で実施する。長久手市も入院について18歳年度末まで対象を拡大したが中学校卒業以降に所得制限を設けている。入院について所得制限を設けずに窓口無料としている自治体は31市町村(県内自治体の57.4%)となり半数を超えた。協会では18歳年度末まで入通院とも無料の助成制度を要望しており、大きな成果と言える。今後も各自治体に対して制度拡充を訴えていくとともに、自治体の制度に比べてあまりに低い県制度(通院は就学前まで、入院は中学校卒業まで)の拡充もあわせて要望していく。所得制限や一部負担金を設けている自治体にはその撤廃を求めることも重要な課題だ。
産後ケア対策として拡充が求められる産婦健診の助成についても前進している。既に県内全ての自治体で助成制度が作られているが、今年度から4市町で助成回数を1回から2回に増やす。助成回数を2回としている自治体は20市町(同37.0%)となり3分の1を超えた。産後うつなどの兆候を見逃さないためには、自治体担当者と産婦の接触回数を増やすことが何よりも大切であり、全ての自治体で少なくとも2回の助成を行うよう求めたい。
難聴の早期発見に欠かせない新生児聴覚検査についても新たに7市町が助成を開始した。助成制度を実施している自治体は33市町村(同61.1%)となり、こちらも大きく前進している。
コロナ禍で多くの住民が、経済的困難や先行きの見えない不安を抱えるなかで、住民に一番身近な存在である市町村の役割は重要さを増している。感染症拡大という困難な状況のなかで、住民サービスの継続と感染症対策という2つの課題に昼夜を分かたず取り組む市町村の担当者に敬意を表したい。一番身近な存在として住民の要望を汲み上げ自治体の施策に反映させることと併せて、県や国に対して制度の創設・改善などを訴えていくことも求めたい。協会では今後も国・県・市町村に安心して暮らせる町づくりのための提案を積極的に行っていく。

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