2021年3月18日

原発ゼロへ-原発事故から10年再エネにシフトを

(愛知保険医新聞2021年3月15日号)

未曾有の災害であった東日本大震災・福島原発事故から、10年たった。あの時「安全神話」を信じた多くの人が想定しなかった、レベル7の「深刻な原発事故」を経験した。二度とこのような事は起こしてはならないと、この時誰しもが心に誓ったはずである。いわばこの「3・11の誓い」が、10年経った今どうなっているだろうか。
政府の対応はどうか。2018年7月に閣議決定した改定エネルギー基本計画によると、2030年度の電源構成比率は、再生可能エネルギーを「主力電源化」し22~24%とする一方、原発は「ベースロード電源」として温存、20~22%に据え置いた。原発を新増設しなければ達成できない数値を、依然として掲げた。これが、「3・11の誓い」を破る「諸悪の根源」となっている。幾たびか司法に断罪されても、国は責任をまっとうに果たしていない。破綻した「核燃料サイクル」路線に固執、莫大な資金投入を続け、昨年核ゴミ処理の候補地として名乗りを上げた、北海道の2町村での調査に高額補助金をつぎ込むなど、コロナパンデミック対応に多大な資金投入すべき時に、選択を誤っている。
電力会社はどうか。一部老朽原発は廃炉にしたが、あくまで再稼働にこだわっている。九州電力のように、発電量超過を回避するとして、原発を優先し、再生可能エネルギー発電の規制まで行っている。「3・11の誓い」は忘れ去られている。
世界は原発を見限り、急速に再生可能エネルギーへとシフトしている。建設費高騰などで、日本が計画していた原発輸出は頓挫。そして一昨年、ついに世界全体の再生可能エネルギー発電が、初めて原発を上回った(2020年9月27日・中日新聞)。原発は発電単価が安い、環境にやさしい、との政府の喧伝は、原料採取から後始末までの全発電事業として評価すれば、再生可能エネルギーに劣る事は、この世界の流れからも明らかである。
原発ゼロを実現しようと、2018年3月に野党4党が「原発ゼロ基本法」を国会に提出、以後継続審議となっている。保団連も加盟する「原発をなくす全国連絡会」が、この法案の成立を求め、昨年11月から署名運動を提起している。私達も「3・11の誓い」を心に刻み、原発ゼロの日本をつくる決意を新たに、「原発ゼロ基本法の制定を求める請願署名」に取り組もう。

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