2021年2月6日

国のコロナ対策-GoToやめて医療への抜本支援を

(愛知保険医新聞2021年2月日号)

菅首相が就任後初となる施政方針演説を行った。しかし新型コロナウイルス感染急拡大に対する具体策に乏しいものとなった。読売・朝日・毎日など世論調査で支持率が3割台に急落し不支持が上回っているのは、国民がこの政権の姿勢を見抜いているからだ。
施政方針演説は、PCR検査など検査体制の強化には触れず、医療機関への減収補填など十分な支援にも踏み込まなかった。それどころか、新型コロナ感染者の入院や調査拒否には過料を科す規定も打ち出している。力ずくの感染症対策は感染抑止への逆行である。
総額20兆円の2020年度第三次補正予算案は、医療などの対策に四兆円を計上したものの、「Go To」事業に1.1兆円、大型公共事業に2兆円余りを投じ、果ては自衛隊の運用に3,000億円など、感染急拡大と緊急事態宣言再発令という事態に全く対応できていない。野党が医療支援で検査や雇用支援など予算組み替えを求めてもこれを拒否する姿勢もいただけない。
保険医協会が1月に実施した新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会員アンケートでも「Go Toよりも医療に支援を」「感染対策をすればするほど赤字になる。診療報酬にコロナ対応を」などの声が多く寄せられており、政府の至急の対策を求めたい。
このほかに、施政方針演説では75歳以上の2割負担導入が盛り込まれた。1割から2割負担になる人については、外来受診で約6割が負担が2倍になる。世帯主が75~79歳の夫婦世帯の場合、毎月の生活費は現在でも2.2万円の赤字であり、消費税増税後ギリギリの生活費切り詰めが行われているなかでの負担増は、冷酷な政治そのものである。政府は2割負担導入の理由に「現役世代の負担軽減」をあげるが、実態は現役世代の負担軽減は1人あたり年400円程度とわずかであり、最も大きな財政効果は1,200億円近くの公費削減にあることを見過ごせない。老人保健制度が始まった1983年当時、高齢者医療費に占める国庫負担分は45%だったが、後期高齢者医療制度の導入で35%にまで大きく引き下げられ、高齢者の窓口負担(自助)や現役世代の肩代わり(共助)が強められてきた。現役の負担軽減というなら、少なくとも国庫負担を45%に戻し、国の公的役割(公助)を果たすべきである。

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