2020年12月17日

1年の終わりに-会員の真摯な想いが運動の原動力

(愛知保険医新聞2020年12月15日号)

今年1年を振り返る時、新型コロナウイルス感染拡大で世界がパンデミックに陥り、その影響が今も大きく続いている現実に驚く。平成の時代において我が物顔の新自由主義の価値観は瓦解しようとしている。日常の行動様式も転換が迫られた。また人々の生活にとって必要不可欠なエッセンシャルワーカーが大きな注目を浴び始めた。日常生活を維持する上で、重要な役割を担っていることがあらためて認識されたからだ。
コロナ禍において、命と暮らしを守るには医療や社会保障の充実が何より大切で、まさに今、それを実現する政治が強く望まれている。協会は新型コロナウイルスの影響から国民の健康悪化を防ぎ、医療機関の経営を守り、会員に寄り添う取組みに力を入れてきた。そもそも保険医療機関は、医療における公益性と非営利性の点から、国民皆保険制度を支える根幹である。絶対に守り抜かなければならない。
ところで7年8カ月続いた嘘と偽りの安倍政治は行き詰り、辞任するに至った。後継の菅首相が目指す社会像は「自助・共助・公助」そして「絆」だ。コロナ禍で困難を抱えた人々を前に、政府の責任を放棄し自己責任の社会を目指すのだ。また日本学術会議任命拒否問題では、あからさまに「学問への自由」を侵害した。こんな政治は早く終わらせないといけない。
暗い話が続く中、明るいニュースが飛び込んできた。10月25日「核兵器禁止条約」が批准50カ国に達し、来年1月22日に発効されることが確定したのだ。協会は、社会保障を守ることと平和・民主主義を守ることを一体の課題として取り組んできたが、核兵器を包括的に禁止する初めての国際条約に結び付いたことは、このたゆまぬ努力の賜物である。
今年は協会創立70周年の節目の年だ。1949年「開業医の生活と権利を守る団体をつくろう」との呼びかけで創立され、今は9千人を超える組織に成長した。一貫して「保険医の生活と権利を守ることと、国民医療の充実と向上はかること」を旗に掲げ、会員の要望に応えるだけでなく、会員もそれぞれの条件を活かし地域住民のために多様な医療・社会活動を展開してきた。一人一人の真摯な想いが協会の原動力となり、運動を巻き起こし、社会を改革してきた。先人たちが築いてきたこの実績を心に刻み、これからも力を合わせ心を燃やし、希望に満ちた未来を切り開いていきたい。

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