2018年3月28日

診療報酬改定-複雑な改定内容を理解し、備えよう

(愛知保険医新聞2018年3月25日号)

 4月から診療報酬が改定される。2月7日に中医協の答申があり改定点数が確定し、3月5日には厚労省の技官会議が開催され、点数表の告示や留意事項通知、施設基準の告示・通知などが発出された。
 今回の改定は、本体はプラス0.55%とわずかに引き上げられたものの、薬価・材料価格引き下げの財源が反映されず、全体として公称1.19%のマイナス改定となった。そして今回の改定は、「社会保障と税の一体改革」「骨太方針2015」の方針のもと、団塊の世代が75歳を越える2025年に向けて、実質最後の診療報酬・介護報酬の同時改定と位置づけされ、「地域包括ケアシステムの構築」「医療機能の分化・強化、連携の推進」が重点項目とされた。
 入院医療では、病床機能の分化と病床削減をさらにすすめるため、人員配置による評価と、重症度、医療・看護必要度の患者割合による診療実績による評価を組み合わせた新たな評価体系に再編・統合がされた。
 外来医療では、入院あるいは外来から在宅や施設へ移行する患者の受け皿として、「かかりつけ医」に外来診療から在宅医療までを横断的につなぎ、多職種連携の役割を担う機能強化を担わせるため、診療報酬上の差別化が図られた。また、維持期リハビリテーションの経過措置は1年間限りとされ、医療保険から介護保険への流れを推し進める内容も盛り込まれた。
 国の施策に合わせ誘導する改定が目立つ一方で、患者に寄り添い日常診療に取り組む多くの医療機関の底上げとなる初再診料や入院基本料などの点数は引き上げられなかった。また新たな要件や新設点数の施設基準も設けられるなど、ますます複雑な改定となっている。
 しかし、こうした流れのなかでも協会・保団連の運動が実り、複数医療機関による訪問診療の評価、歯科医療機関からの求めに応じた診療情報連携共有料の新設などの成果も上がっている。
 協会では、医科・歯科ともに全国の役員・事務局が知恵をしぼり、分かりやすく正確なテキストを作成し説明会を開催している。ぜひテキストの活用と説明会にご参加いただき、改定内容の理解をお願いしたい。

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