2018年1月18日

新年にあたり-命と人権守る使命 不戦の日本でこそ

(愛知保険医新聞2018年1月15日号)

平成の締めの1年を迎えた。元年生まれが中間層となる時代に入る。この30年、私たちはどんな風に生き、どんな日本を作ってきたか、そしてこれからどんな日本、どんな世界を目指したいかを考えてみる1年かもしれない。
昨年は核兵器禁止条約が成立し、ノーベル平和賞はICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が受賞、被爆者であるサーロー節子さんが「核兵器による自分たちと同じ苦しみを誰にもさせたくない」と述べた。同賞は核戦争防止国際医師会議「IPPNW」も1985年に受賞した。昨年世界医師会長に就任した横倉義武氏はIPPNW日本支部代表支部長に就任した。保険医協会が事務局を担う反核医師の会は、日本のICANの参加団体だ。命と人権を守るという命題の活動の一環である。
株価や雇用の上昇で経済政策は成功という安倍首相のことばは実感できないが、世界も日本も数%の人が富を独占する格差社会が一層拡がり、武器輸入などで軍事費は上昇の一途。医療・介護、社会保障、年金、生活保護などのセイフティネットの綻びは実感する。
更に首相は1月からの通常国会に改憲発議のスケジュールを描いている。平和憲法のもと、不戦を貫いてきた日本の誇りをここで断ち、戦争する日本を子孫に渡すわけにはいかない。キング牧師の名言「最大の悲劇は悪人の圧政や、残酷さではなく、善人の沈黙である」を心に刻みたい。
愛知県保険医協会は会員数9,040名余の力を結集し、診療・介護報酬、患者負担、消費税損税、女性医師を含む医療関係者の働き方などの諸問題の改善をはじめ、上記の大きな課題にも取り組んでいきたい。
また、昨年は保団連医療研究フォーラムの主務地として、益川敏英氏と鎌田實氏の対談「今をどう生きる~子や孫が安心して暮らせる社会をどう残すか」、中筋純氏の「流転―福島&チェルノブイリ」と「731部隊」の写真展を市民参加型で開催した。会内向けのシンポジウム「子どもの貧困」などや、分科会も企画し、総勢800余名が参加した。
協会の共済制度、各種テキストの発行、文化行事、各科にわたる無料の講演・講習会などは会員と家族・従業員に大変好評である。
保険医新聞は機関紙として、協会の活動方針を反映し、正確な情報をいち早く届けると同時に、会員投稿など、読んで楽しく為になる記事を提供し、会員相互の親睦の場となるような編集を心掛けたい。

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