介護報酬改定Q&A(2021年5月25日号)

2021年9月30日までの上乗せ分(新型コロナ特例)等について

 2021年度介護報酬改定に係る疑義事項について、医療機関が行う居宅サービスを中心に紹介する。

2021年9月30日までの上乗せ分(新型コロナ特例)
Q1.新型コロナウイルス感染症対応のための特例としてどのような評価がされたのか。
A1.2021年9月30日までの間は、福祉用具貸与を除く全てのサービスについて、基本部分の所定単位数の0.1%に相当する単位数を上乗せ分として算定できるようになった。

Q2.上乗せ分は、どのように算出するのか。
A2.同一種別のサービスについて、当月分を合算後、0.1%を乗じて小数点以下を四捨五入して算出する。なお、複数職種が同一種別サービスを実施した場合も合算して0.1%を乗じる。(下例参照)
なお、医科・歯科併設の医療機関について、介護事業所番号は別々であるため、合算せず、それぞれで計算する。
(例)<医師と薬剤師が居宅療養管理指導、単一建物1人の場合、それぞれ月2回算定>
・居宅療養管理指導Ⅰの1(医師)  514単位×1回=1,028単位
・居宅療養管理指導Ⅰの1(薬剤師) 565単位×2回=1,130単位
 →(1,028単位+1,130単位)×0.1%=2.158 → 四捨五入して2単位。

Q3.上乗せ分の計算結果を四捨五入すると0単位となってしまう場合は、上乗せ分の請求ができないのか。
A3.計算の結果、四捨五入すると0単位となる場合は、例外的に1単位を算定することができる。(下例参照)
(例)<医師の居宅療養管理指導(Ⅱ)、単一建物1人の場合、月1回算定>
・月の合計の所定単位数の0.1%を乗じる。
 → 298単位×1回×0.1%= 0.298 → 四捨五入して0単位 → 1単位になる。

Q4.上乗せ分のレセプト請求について、どのように記載するのか。
A4.上乗せ分として専用のサービスコードが設定されており、通常のサービスとは別に記載する。介護レセプトの記載は以下の通り。
(例:居宅療養管理指導費の上乗せ分として1単位を算定する場合)
・サービス内容欄:「居宅療養 令和3年9月30日までの上乗せ分」
・サービスコード欄:「318300」
・単位数欄:「1」
・回数日数欄:「1」
・サービス単位数欄:「1」
・摘要欄:(記載不要)

Q5.上乗せ分により請求単位が増えると、利用者負担はどうなるのか。
A5.利用者負担も上乗せされる。なお、区分支給限度基準額に関係するサービスにおいては、上乗せ分も含めて管理をする。

Q6.上乗せ分は、事業者の判断でレセプトでの請求をしなくても良いか。
A6.請求しなかった場合、国保連合会から請求漏れとしてレセプトが返戻される。

居宅療養管理指導費
Q7.医師・歯科医師等によるケアマネジャー等への情報提供を行う義務があるが、どのような方法で情報提供を行えばよいか。
A7.従前通り原則として、サービス担当者会議への参加になるが、文書(Eメール、FAX等も可)での情報提供も可能である。

Q8.情報提供の内容について、今回の改定でどのような変更があったか。
A8.従前の項目に「必要に応じて、利用者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつながるよう留意し、また、関連する情報については、ケアマネジャー等に提供するよう努める」こと(下線部分)が追加された。
〔情報提供すべき項目〕
・基本情報(医療機関名、住所、連絡先、医師・歯科医師氏名、生年月日、性別、住所、連絡先等)
・利用者の病状、経過等
・介護サービスを利用する上での留意点、介護方法等
・利用者の日常生活上の留意事項、社会生活面の課題と地域社会において必要な支援等

Q9.情報提供の文書について、具体的にはどのような様式なのか。また、その様式を必ず使用しなければならないのか。
A9.医科では「都道府県が指定する指定居宅介護支援事業所向け診療情報提供書(医師)」(別紙様式1)が、歯科では「都道府県が指定する指定居宅介護支援事業所向け診療情報提供書(歯科医師)」(別紙様式2)が示された。
 なお、別紙様式1・2の項目を満たしていれば、準ずる様式を使用してもよい。

ケアマネジャーへの情報提供の各様式等については、厚生労働省の特設ページ「令和3年度介護報酬改定について」からダウンロードが可能。二次元コードまたは「厚労省 介護報酬改定 令和3年」で検索。
 

Q10.サービス担当者会議に参加した場合は、別紙様式1・2等の文書を提供する義務はないのか。
A10.会議に参加し、ケアマネジャー等に必要な事項を口頭で伝えるので、文書提供の義務はない。
 ただし、伝えた内容をカルテに記録する必要はあるため、実務上は会議において文書を提供し、写しをカルテに添付して記録することが効率的である。

運営に関する基準等
Q11.事業所が講じるべきハラスメント防止対策とは、どのようなものがあるのか。
A11.下記の3点のハラスメント対策を講じる必要がある。
・セクシュアル・ハラスメント(2021年4月から義務)
・パワー・ハラスメント(資本金が5000万円以下又は常時使用する従業員の数が100人以下の事業所は、2022年4月1日から義務)
・カスタマー・ハラスメント(努力義務)

ハラスメント防止対策に関する基本方針の例示等については、全国保険医団体連合会の「2021年度介護報酬改定特集ページ」を参照。二次元コードまたは「保団連 介護報酬改定 2021」で検索。
 

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